[生体情報解析分野からのお知らせ] 実験医学 特集「がんと全身性代謝変容」の発刊
生体情報解析分野 河岡准教授が企画に携わったがん悪液質に関する特集が実験医学 (羊土社) にて出版されます ( 実験医学 (羊土社)詳細 )。がんによって全身状態が悪化するのはなぜか、という根本的な問いに関する最新研究を、基礎・臨床の両面からまとめた内容となっております。ぜひお手にとってご覧ください。
河岡慎平
生体情報解析分野 河岡准教授が企画に携わったがん悪液質に関する特集が実験医学 (羊土社) にて出版されます ( 実験医学 (羊土社)詳細 )。がんによって全身状態が悪化するのはなぜか、という根本的な問いに関する最新研究を、基礎・臨床の両面からまとめた内容となっております。ぜひお手にとってご覧ください。
河岡慎平
生体情報解析分野 河岡准教授がデータ解析に関わった論文が British Journal of Cancer 誌に発表されました。トリプルネガティブ乳がん患者さんの時系列サイトカインデータが抗がん剤の治療効果や乳がんの性質と相関することを示した論文です。
生体情報解析分野 河岡准教授らによるがん悪液質に関する総説が Cancer Science 誌に掲載されました。がん悪液質研究の多くが体重ならびに筋肉の減少にフォーカスしてきました。本総説では、肝臓等のこれまであまり注目されてこなかった臓器を解析することの重要性、また、患者さんの体調が目に見えて悪くなる前に起こる「早期病態生理」を研究することの重要性を論じました。
【発表のポイント】
⚫ 可逆性小児急性肝不全の原因の一つはミトコンドリア酵素の MTU1 遺伝子の変異ですが、疾患発症の仕組みは不明でした。
⚫ MTU1 遺伝子の疾患関連変異の作用を検討し、変異がミトコンドリア tRNA 硫黄修飾(注1)の低下を引き起こすことで発症に寄与することを明らかにしました。また、MTU1 変異の種類によって硫黄修飾障害率が異なり、病態の重篤度に大きく影響することが分かりました。
⚫ MTU1 タンパク質を分解してしまう CLPP(注2)遺伝子の発現を抑制することで、ミトコンドリア tRNA 硫黄修飾の回復に成功しました。
【概要】
可逆性小児急性肝不全は、重度の肝機能低下を主症状とする希少小児疾患であり、出生後まもなく発症し死に至るケースも報告されています。可逆性小児肝不全の原因として MTU1 遺伝子の変異が知られています。一方、患者で報告されている MTU1 遺伝子の変異は非常に多様であり、それぞれの変異が疾患の発症に与える影響は不明でした。
東北大学加齢医学研究所の魏范研教授、Raja Norazireen Raja Ahmad 研究員らは、熊本大学大学院生命科学研究部富澤一仁教授、筑波大学計算科学研究センター重田育照教授らとの共同研究により、可逆性小児肝不全患者で報告されている 17 種類の MTU1 遺伝子変異の作用を明らかにしました。これらの変異は MTU1 の酵素活性とタンパク量の低下を引き起こすことで、MTU1 によるミトコンドリア tRNA 硫黄修飾を大きく障害し、ミトコンドリアでのタンパク質翻訳とエネルギー代謝の低下原因となることがわかりました。
また、MTU1 タンパク量低下の原因は、CLPP による分解であることを突き止めました。さらに、CLPP の機能抑制が MTU1 タンパク量の増加を介して、ミトコンドリア tRNA 硫黄修飾の回復に成功し、MTU1 の分解抑制が可逆性小児肝不全の治療につながる可能性が示されました。
本研究結果は2023年12月19日付の欧科学誌 Nucleic Acids Research に掲載されました。
図 MTU1 病原性変異によるミトコンドリア機能障害と疾患発症の分子機構
【用語説明】
注1. tRNA:
80 塩基前後の長さを有する小分子 RNA であり、末端にアミノ酸を結合している。tRNA は mRNA と結合し遺伝子暗号を解読することで、mRNA の設計図通りにタンパク質が合成される。
注2. CLPP:
Endopeptidase Clp の略であり、ミトコンドリアの内腔に局在するエンドペプチダーゼである。ミトコンドリア内腔において様々なタンパク質を分解し、タンパク質の恒常性維持に必要である。
【問い合わせ先】
<研究に関すること>
東北大学加齢医学研究所 モドミクス医学分野 教授 魏范研
TEL:022-717-8562
E-mail:fanyan.wei.d3*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
<報道に関すること>
東北大学加齢医学研究所 広報情報室
TEL:022-717-8443
E-mail : ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
人間社会情報科学専攻 学習心理情報学分野 細田千尋准教授が、12月20日(水)午後20:00~22:00にMBS毎日放送で放送される特別番組「やすとものNEWSここ3ヶ月」に出演します。ぜひご覧ください。
【番組情報】
MBS毎日放送
「やすとものNEWSここ3ヶ月」
2023年12月20日(水) 20時~22時
番組の紹介
鈴木華子さん(心臓病電子医学・人工臓器医工学分野 修士課程1年)が、第57回日本生体医工学会東北支部大会において Young Investigator Award を受賞しました。公益社団法人日本生体医工学会は、「日本医学会」の分科会であり、特に「懸賞」事業では、「公益」社団法人であることから、分科会でも支部大会でも特に「審査」を厳しく決定することが「内閣府」より求められており、懸賞事業は理事会の議を経て決定されるので公的にオーソライズされた賞です。
詳細は次をご覧ください。
受賞詳細
【問い合わせ先】
東北大学加齢医学研究所 心臓病電子医学分野
TEL:022-717-8517
東北大学加齢医学研究所では、加齢医学に関する共同利用・共同研究を行っております。
募集要項のとおり公募いたしますので、奮ってご応募ください。
【詳細URL】
https://www.idac.tohoku.ac.jp/site_ja/joint-program
【問い合わせ先】
加齢医学研究所 研究推進係 022-717-8445
ida-sen@grp.tohoku.ac.jp
人間社会情報科学専攻 学習心理情報学分野 細田千尋准教授が、11月28日(火)午後22:00~23:00に日本テレビ系列で放送される番組「カズレーザーと学ぶ。」に出演します。ぜひご覧ください。
【番組情報】
日本テレビ
「カズレーザーと学ぶ。」
2023年11月28日(火)午後22:00~23:00 放送予定
番組の紹介
【概要】
加齢による記憶力を中心とする認知機能の低下は、高齢者の生活の質を低下させる要因の一つです。人間環境大学の野内類教授(研究当時:東北大学加齢医学研究所(准教授))と東北大学の川島隆太教授を中心とする研究グループと金印株式会社は、本わさびに含まれる健康成分であるヘキサラファン(6-MSITC )が、健康な高齢者の認知機能に及ぼす効果を、無作為比較対照試験を用いて検証しました。その結果、ヘキサラファンを含むサプリメントを 12 週間毎日摂取した群(ヘキサラファン群)は、ヘキサラファンが一切含まれていないプラセボサプリメントを摂取した群(プラセボ群)よりも、記憶力(エピソード記憶と作業記憶)が向上することが明らかになりました。
本研究の成果は、2023 年 10 月 30 日にオンライン雑誌の Nutrients 誌に掲載されました。
詳細は次をご覧ください。
詳細
【お問い合わせ先】
<研究に関すること>
人間環境大学総合心理学部 教授 野内 類
E-mail:r-nouchi*uhe.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
【発表のポイント】
⚫ 様々な身体の不具合につながる一時的な睡眠不足(注1)で起こる脳神経活動の変化を網羅的に解析しました。
⚫ 一時的な睡眠不足によりもたらされる脳領域間の結合性(注2)の変化を世界で初めて定量的に示しました。
⚫ 遺伝子改変モデルマウスと半自動脳アトラスレジストレーションツール(注3)を組み合わせることで、心理的な偏りのない網羅的な細胞活動変化の解析を可能にする方法を提案しました。
【概要】
睡眠不足は、私たちの日常生活に悪影響を及ぼしうる大きな社会問題となっています。加齢医学研究所統合生理学研究分野の佐藤亜希子准教授(兼務:国立長寿医療研究センター・副部長)、漆畑拓弥助教、国立長寿医療研究センターの後藤三緒研究補助員、壁谷慶子研究補助員、辻将吾研究員らは、マウスを用いて、脳内の細胞活動変化を網羅的に解析する新たな方法を提案しました。そしてこの方法を用いることで、一時的な睡眠不足による脳内の神経活動変化と領域間の結合性変化を定量的に検出できることを示しました。
本研究は至学館大学栄養科学科の清塚麻衣学部生、丸山栞穂学部生、栄養科学科/健康科学研究所の多田敬典教授との共同研究により実施されました。
本研究成果は、10 月 19 日に国際学術誌 Frontiers in Neuroscience に発表されました。
図 脳内の活動化神経を網羅的に解析する方法の流れ。
SD 中に活性化した神経を標識し、脳マルチスライスの画像を取得(Step1)。活性化神経の xy 座標(Step2-1)と脳領域(Step2-2)の決定。各脳領域における活性化神経数の計測(Step3)。
【用語説明】
注1. 睡眠不足:
睡眠絶対量が不足した状態。
注2. 脳領域間の結合性:
神経活動の同期度合いから脳領域間の相互作用の強さを規定する指標。
注3. 半自動脳アトラスレジストレーションツール:
既に領域が定義された脳地図(脳アトラス)画像と脳スライス画像を半自動的にアライメントすることで、脳スライス画像の全ての脳領域を決定させ、定量評価を可能とするツール。
【お問い合わせ先】
<本研究に関すること>
東北大学加齢医学研究所 統合生理学研究分野 准教授 佐藤 亜希子
E-mail:akiko.satoh.b7*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
<報道に関すること>
東北大学加齢医学研究所 広報情報室
TEL:022-717-8443
E-mail : ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
毎年、日本医師会では「日本医師会医学賞」ならびに「日本医師会医学研究奨励賞」が選考されます。このたびモドミクス医学分野の小川亜希子助教が「日本医師会医学研究奨励賞」を受賞しました。
「日本医師会医学研究奨励賞」は医学上将来性に富む研究を行っている日本医師会会員に毎年1回、基礎医学・社会医学・臨床医学(内科系)、臨床医学(外科系)の各部門を通じ計 15 名に授与されます。2023年11月1日(水)に日本医師会館大講堂で開催された日本医師会設立76周年記念式典並びに医学大会において、授賞式が行われました。
研究題目(基礎医学部門)
「RNA 修飾を基軸とした生体恒常性維持の解明」
【問い合わせ先】
東北大学加齢医学研究所モドミクス医学分野
TEL: 022-717-8569