【お知らせ】片平まつり2025に参加しました

 東北大学加齢医学研究所は、2025年10月11日(土)に開催された「片平まつり2025」に参加しました。片平まつりは、東北大学の附置研究所・センター・史料館が研究活動の一端を地域の皆様や生徒・学生の皆さんにご紹介する、2年に一度の科学イベントです。今回の片平まつりは「わくわく、発見、研究所はワンダーランド」をテーマに開催され、当研究所では事前申込による特別講演と、当日受付でご参加いただける企画を実施しました。

 片平キャンパスのさくらホールで開催された 國安 絹枝 助教(分子腫瘍学研究分野)による特別講演「仙台の歴史上の偉人と学ぶ染色体の研究」では、奥州・仙台おもてなし集団 伊達武将隊も登場し、細胞や遺伝子の基礎的な内容から最先端の研究について多くの方々に聴講いただきました。

 星陵キャンパスにある加齢医学研究所の会場では、お子様から大人の方まで271名が来場し、様々な体験企画やスタンプラリーをお楽しみいただきました。
 たくさんのご来場、誠にありがとうございました。


会場の様子(星陵キャンパス 加齢医学研究所)


「体験企画・ドキドキVR高所体験!脳に与える驚きの効果とは?」(人間脳科学研究分野)


「体験企画・細胞を見てみよう」(腫瘍生物学分野)


「体験企画・心臓のしくみとはたらき」(心臓病電子医学分野)


「体験企画・ニワトリ胚をのぞいてみよう」(呼吸器外科学分野)

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【お知らせ】2025年10月11日(土)、片平まつり2025に参加します

片平まつり2025

【お知らせ】カロリンスカ研究所との連携強化へ、今後の取り組みについて意見交換

 スウェーデン・カロリンスカ研究所より、研究代表Per Nilsson准教授と国際連携担当Lotta Lundqvist氏の2名が10月3日に当研究所へ来所されました。
 これは、加齢医学研究所とカロリンスカ研究所が本年8月に部局間学術交流協定(MOU)を締結したことを受け、今後の具体的な連携について協議を行うことを目的としたものです。
 協議では、両機関の協力関係の強化に向けた今後の取り組みについて活発かつ建設的な意見交換が交わされました。今後カロリンスカ研究所との協力関係をより一層深めてまいります。

【問合せ先】
加齢医学研究所 国際戦略室
TEL 022-717-8597
E-mail ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
  (*を@に置き換えてください)

 
左から、加齢医学研究所 魏副所長、カロリンスカ研究所 Lotta Lundqvist氏、
Per Nilsson准教授、加齢医学研究所 国際戦略室 鈴木特任准教授

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【お知らせ】カロリンスカ研究所と部局間学術交流協定を締結(2025/9/26)


【お知らせ】カロリンスカ研究所と部局間学術交流協定を締結

 2025年8月、東北大学加齢医学研究所は、スウェーデンのカロリンスカ研究所(Department of Neurobiology, Care Sciences and Society (NVS), Karolinska Institutet (Kl), Sweden.)と部局間学術交流協定を締結しました。
 この協定は長年にわたる両機関の交流の成果であり、2025年6月2日から3日にかけて開催された第2回合同シンポジウムを機に具体的に進められたものです。
 今回の協定締結は、加齢医学研究所が国際的な研究拠点として活動を展開し、両機関の国際的な連携を一層深める重要な一歩です。今後、共同研究や学生・研究者交流がさらに活発になることが期待されます。

  【問合せ先】
  加齢医学研究所 総務係
  TEL 022-717-8443
  E-mail ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
  (*を@に置き換えてください)
   

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【お知らせ】カロリンスカ研究所との合同シンポジウムが開催されました(2025/6/24)


【お知らせ】2025年10月11日(土)、片平まつり2025に参加します

 2025年10月11日(土)に開催される「片平まつり2025」に、東北大学加齢医学研究所も参加します。
 片平まつりは、東北大学の附置研究所・センター・史料館が研究活動の一端を地域の皆様や生徒・学生の皆さんにご紹介する、2年に一度開催される科学イベントです。
 今年は「わくわく、発見、研究所はワンダーランド」をテーマに、当研究所では 國安 絹枝 助教(分子腫瘍学研究分野)による特別講演「仙台の歴史上の偉人と学ぶ染色体の研究」(会場:片平キャンパス さくらホール、要事前申込)のほか、細胞観察やVR高所体験など、当日受付で参加いただける企画を開催いたします。(会場:星陵キャンパス内、加齢医学研究所)
 皆様のご来場をお待ちしております。

東北大学附置研究所等一般公開 片平まつり2025
「わくわく、発見、研究所はワンダーランド」
日 時:2025年10月11日(土)9:00-16:45 参加無料
場 所:東北大学片平キャンパス、青葉山新キャンパス、星陵キャンパス
対 象:小・中学生、高校生、大学生、一般の方

各企画、特別企画の詳細は こちら からご確認ください

RNA修飾代謝による生体防御機構を解明 -有害な修飾ヌクレオシドから体を守る仕組み- (東北大学加齢医学研究所:魏范研 教授)

【発表のポイント】
⚫ 化学修飾されたRNAが代謝されると修飾ヌクレオシド(注1)が生じますが、その機能や意義については十分に解明されていませんでした。
⚫ 本研究により、修飾ヌクレオシドのうち、毒性をもっているm6A, m6,6A, i6A(注2)の3種が2種類の共通の酵素によってIMP(注3)へ代謝され、無毒化する代謝経路が存在することがわかりました。
⚫ この代謝経路は進化的に保存されており、とくに哺乳動物では糖代謝や脂質代謝と関連する可能性が示されたことで、今後、修飾ヌクレオシドと疾患発症の関連性について、より深い理解が進むことが期待されます。

【概要】
 RNAはさまざまな化学修飾を受け、現在までに約150種類以上が同定されています。これまで、細胞内におけるRNA修飾の役割については研究が進んでいましたが、RNA修飾が代謝された後に生じる修飾ヌクレオシドの機能や意義については十分に解明されていませんでした。
 東北大学 加齢医学研究所の小川 亜希子助教(当時、現所属は薬学研究科准教授)、魏 范研教授、生命科学研究科の田口 友彦教授、医学系研究科の中澤 徹教授らは、九州大学 生体防御医学研究所の渡部 聡准教授、稲葉 謙次教授、農学研究院の有澤 美枝子教授、熊本大学 生命資源研究・支援センターの荒木 喜美教授、生物環境農学国際研究センターのアレン イールン ツァイ助教、澤 進一郎教授らとの共同研究、およびライプツィヒ大学やハーバード大学などとの国際共同研究により、修飾ヌクレオシドのうち、m6A、m6,6A、i6Aが毒性を持ち、酵素ADKとADALによって無毒なIMPへ代謝されるという経路を発見しました。この経路が破綻すると修飾ヌクレオシドやその中間代謝物が蓄積して糖代謝や脂質代謝の異常が生じ、さらにはリソソームなどの細胞小器官(注4)の機能不全が起こることが毒性の原因であることを同定しました。
 本研究によって同定された酵素の一部はすでにヒト疾患が報告されており、今後、修飾ヌクレオシドが病態解明や治療開発に繋がる可能性があります。
 本研究結果は2025年8月20日付で科学誌Cellに掲載されました。


図1. 本研究の概要

【用語説明】
注1.修飾ヌクレオシド:
 ヌクレオシドとは塩基と糖が結合した分子で、RNAの原材料の一つである。修飾ヌクレオシドとは、ヌクレオシドの塩基あるいは糖にメチル化やアセチル化などの修飾が施された分子である。
注2.m6A, m6,6A, i6A:
 アデノシンの構造に特定のメチル基などが付加された修飾ヌクレオシド。詳細な構造は図2を参照。
注3.IMP(inosine monophosphate):
 イノシンモノリン酸の略で、アデノシンが代謝分解されることでできる中間代謝産物。エネルギー代謝にも関与する。
注4.リソソームなどの細胞小器官:
 細胞内で特定の役割を担う構造体。リソソームは老廃物や不要物の分解を担う「細胞の清掃係」として知られる。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学加齢医学研究所
モドミクス医学分野 教授 魏 范研
大学院薬学研究科・薬学部 准教授 小川 亜希子
TEL: 022-717-8562
Email: fanyan.wei.d3*tohoku.ac.jp, akiko.ogawa.e5*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学加齢医学研究所
広報情報室
TEL: 022-717-8443
Email: ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

【お知らせ】夏休み大学探検2025を開催しました

 2025年8月1日(金)・5日(火)に、「夏休み大学探検2025」を開催しました。
このイベントは、仙台市内の中学生を対象に東北大学の科学研究者による最先端の研究について話を聞いたり、最先端の研究施設で体験活動を通して科学の楽しさ・おもしろさを体験してもらうことを目的としています。

 今回、加齢医学研究所では白石 泰之 准教授(非臨床試験推進センター 心臓病電子医学分野)が『心臓の動きと力 〜心臓を聴いて診て触って~』 をテーマとしたプログラムを開講し、2日間で中学1年生から3年生の計18名が参加しました。

 仙台市教育委員会ご担当者による開講の挨拶に続き、白石准教授より補助人工心臓の歴史、世界における研究動向、日本での心臓移植の状況についてお話があり、参加者の皆さんは真剣に聞き入っていました。また実際に東北大学で開発された補助人工心臓を手に取って観察してもらいました。

 次に心臓の厚みなどを調べる際に使われるエコー(超音波検査)体験を行いました。プローブを動かし、容器に入った液体の中に沈んだ物体がどのように見えるか、またプローブの動かし方によって見え方がどう違うかを体験してもらいました。参加者の皆さんは物体の形状を推測したり、いかに明確に映しだせるか試行錯誤しながら手元を動かしていました。白石准教授が自身の心臓をエコーで投影し、実際に鼓動する心臓の様子を見ながら説明する場面もあり、皆さんはエコー画像に見入っていました。
 続いて、血液を送り出すのにどれくらいの力が必要か模擬装置を使って血圧の仕組みを体験しました。さらに、補助人工心臓の有無で血液を送り出すのにどれ位の違いがあるかを体験し、補助人工心臓の仕組みやその役割を体感してもらいました。実際に、補助人工心臓を心臓に取り付ける手順や手術にかかる時間などについても具体的なお話がありました。

 また、補助人工心臓を使う際に用いられるセルジンガー法という技術の模擬体験をしました。参加者の皆さんは白石准教授の説明を受けながら手順通りに手を動かし、その技術を体感していました。その後は、補助人工心臓とは形状が異なるカテーテル式の血液ポンプや、共同研究で開発を進めているポンプなども手に取ってもらい、機器による違いを観察してもらいました。

 最後に、白石准教授より現在取り組んでいる小児用補助人工心臓の開発、日本における子供の心臓移植の現状について説明がありました。日本が持つ医療システムを平等に提供できる仕組みについても話され、大学の役割として新しい研究を進めるとともに、誰もが質の高い医療を受けられるような仕組みを社会全体で整えていくことの重要性についてお話しされました。そして、これからも新たな発見と仕組みつくりに取り組んでいく決意を示され、「参加者の皆さんたちと同じ目標に向かって取り組んでいく機会が来ることを楽しみにしています。」と締めくくられました。


過去に作られてきた補助人工心臓について説明(白石泰之准教授)


エコー体験では物体の形状を推測したり映し方を試した


血液を送り出すのにどれくらいの力が必要か手押しポンプで体験


補助人工心臓の有無で血液を送り出すのにどれくらい違いがあるかを確認


セルジンガー法の模擬体験の様子

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非臨床試験推進センター 心臓病電子医学分野

【お知らせ】東北大学オープンキャンパス2025に参加しました。

 2025年7月30日(水)、31日(木)の2日間、東北大学オープンキャンパス2025に参加しました。加齢医学研究所は、星陵地区特別企画内で展示を行い、腫瘍生物学分野・臨床加齢医学研究分野(スマート・エイジング学際重点研究センター)・生体防御学分野の三分野が、それぞれの分野における最先端の研究事例を紹介しました。
 当日は多くの高校生や保護者の方にお越しいただき、各分野担当者は研究内容だけではなく東北大学での学生生活や学部卒業後のキャリアについても答えたりと多岐にわたるテーマで交流を図りました。       
 ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

関連リンク

腫瘍生物学分野
臨床加齢医学研究分野
生体防御学分野
スマート・エイジング学際重点研究センター
【お知らせ】2025年7月30日(水)・31日(木) 東北大学オープンキャンパス2025に参加します

【お知らせ】2025年7月30日(水)・31日(木) 東北大学オープンキャンパス2025に参加します

東北大学オープンキャンパス2025が7月30日(水)・31日(木)の2日間開催されます。
加齢医学研究所は、医学部オープンキャンパス2025の星陵地区特別企画内で展示を行います。ぜひお立ち寄りください。

日時:2025年7月30日(水)・31日(木) 9時~16時
場所:加齢医学研究所 展示会場 星陵会館2F小会議室1(B10)


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東北大学オープンキャンパス2025
医学部オープンキャンパス2025

大事な物質を維持するための“隠れた消費抑制機構”~見かけの安定に潜む代謝産物制御メカニズムの解明~(東北大学加齢医学研究所:樫尾宗志朗 助教)

【発表のポイント】
⚫ 生命維持に不可欠な代謝産物である「S-アデノシルメチオニン(SAM)(注1)」の関連代謝産物のレベルは、飢餓状態でも安定していることを見出しました。
⚫ 細胞質に存在するSAM消費酵素グリシンN-メチルトランスフェラーゼ(Gnmt)(注2)がSAM産生阻害時に、核内のユビキチン・プロテアソームシステム(UPS)(注3)経路で分解されることを発見しました。
⚫ 本研究は、飢餓などの栄養不足に対する新たな介入戦略の足がかりになり得ます。

【概要】
 変化を網羅的に捉えられるようになった近年の生命科学において、大事だからこそ安定的に保たれる、「見かけ上、変化がない因子」は見過ごされることがあります。
 東北大学加齢医学研究所の樫尾宗志朗助教(研究当時:東京大学大学院薬学系研究科 助教)と、基礎生物学研究所の三浦正幸所長(研究当時:東京大学大学院薬学系研究科 教授)の研究グループは、栄養不足や代謝産物の産生阻害といった厳しい環境下でも、生命維持に不可欠な代謝物質「S-アデノシルメチオニン(SAM)」の量を安定的に保つ仕組みを明らかにしました。本研究は、生命を支える代謝の恒常性メカニズムを解明し、そのバランスが崩れる代謝破綻(注4)に対する新たな介入戦略の開発につながる成果です。
 本成果は6月24日、Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)に掲載されました。


図1. 消費酵素Gnmtの減少が核内UPSによって制御される
 通常状態では、Gnmtは主に細胞質に存在し、SAMを消費している。一方、SAMが産生されない状況ではGnmtは減少し、SAMの消費が抑制される。このGnmtの減少は、核内のユビキチン·プロテアソームシステム(UPS)によって制御されており、核内UPSを阻害するとGnmtの減少は抑制され、核内にGnmtが蓄積する。

【用語説明】
注1.SAM:
 Sアデノシルメチオニン。必須アミノ酸であるメチオニンから合成されて、ポリアミンやシステイン、グルタチオンの原料となる。DNAやRNAなどの核酸や脂質、種々のタンパク質のメチル化修飾に必要。
注2.Gnmt:
 グリシンN-メチルトランスフェラーゼ。哺乳類の肝臓や無脊椎動物の脂肪体に豊富に存在する酵素。アミノ酸であるグリシンにメチル基を付与してサルコシンを合成する反応を担う。この過程でSAMを消費するため、余分なSAMを消費してその量を制御する因子として機能する。ショウジョウバエ、マウス、ヒトで進化的に広く保存されて存在するが、線虫には存在しない。
注3.UPS:
 ユビキチン・プロテアソームシステム。細胞内のタンパク質を分解するシステムの1つで、ユビキチンが付与されたタンパク質をプロテアソームが分解する。細胞内のタンパク質恒常性を維持し、細胞の様々な機能を制御するのに不可欠なシステム。様々な疾患や創薬のターゲットとして注目されている。
注4.代謝破綻:
 体内での代謝のバランスが崩れ、本来必要なエネルギーや物質が適切に供給・処理されなくなる状態。飢餓やがん、老化、炎症などに伴って起こり、疲労や病的な体重減少などを引き起こす要因となる。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学加齢医学研究所
助教 樫尾 宗志朗
TEL: 022-717-8568
Email: soshiro.kashio.d6*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学加齢医学研究所
広報情報室
TEL: 022-717-8443
Email: ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

脳の「かたち」は父に似るのか母に似るのか? 親子の脳が類似する性別ごとのパターンを発見 (東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター:瀧 靖之教授)

【発表のポイント】
⚫ ヒトの脳には「父親に似る部分」「母親に似る部分」「両親に似る部分」「父親にも母親にも似ない部分」があることを発見しました。
⚫ 脳のどの部分が父親と母親のどちらに似るかは、性別によって異なります。
⚫ 日本人の父・母・子(親子トリオ)の脳画像解析による世界初の成果です。

【概要】
 親子の顔や性格が「似ている」と気づく瞬間は、誰でも経験することでしょう。しかし、親子が似ているのは日常の中で感じられる特徴ばかりではありません。実は脳の「かたち」も、他人同士の中から親子を識別できるほどによく似ることがわかっています。ただし、これまでの研究では母親と子に焦点が当てられており、父親を含めた検討は十分に行われていませんでした。
 東北大学学際科学フロンティア研究所の松平泉助教、大学院医学系研究科の山口涼大学院生(日本学術振興会特別研究員)、加齢医学研究所の瀧靖之教授の研究グループは、父・母・子からなる「親子トリオ」の脳MRI画像を用いて、子の脳のどの部分が、父親と母親のどちらに似ているのかを詳細に調べました。その結果、子の脳には「父親にのみ似る部分」「母親にのみ似る部分」「両親に似る部分」「どちらにも似ない部分」が存在することを発見しました。さらに、これらの構成には子の性別によって違いがあることが明らかとなりました。
 つまり、親子の脳の類似性は、「父と娘」「母と息子」など、親子の性別の組合せによって異なると言えます。今後は、「なぜ親子で脳が似るのか」「なぜ性別が関与するのか」「脳が似ていることは性格が似ていることとどう関係するか」といった問いに迫ります。本研究を手がかりとして、抑うつなどの心の不調が世代間で伝播する仕組みの理解が進むことも期待されます。
 本研究成果は、2025年6月19日付で科学誌 iScience に掲載されました。


図1.研究成果の概要
『家族の脳科学』では父・母・子からなる「親子トリオ」の脳のMRI画像を収集しています(図の左側)。脳のMRI画像からは、脳回指数、表面積、皮質厚、皮質下体積、といった脳の「かたち」の情報(特徴量)を得られます(図の中央)。本研究ではこれらの特徴量が親子で似ている脳領域を詳細に調べました(図の右側)。その結果、息子と娘のそれぞれにおいて、父親にのみ似る領域(脳の模式図のうち、青色で塗った部分)、母親にのみ似る領域(桃色で塗った部分)、両親に似る領域(紫色で塗った部分)、どちらにも似ない領域(鼠色で塗った部分)、があることが分かりました。この結果は、先行研究の多くが母子のみを対象としてきたのに対し、「親子トリオ」に着眼したことで得られた新しい知見です。なお、実際の分析結果では脳の左半球にも特徴量の親子間の類似性を確認していますが、簡略化のため、図には右半球のみを表示しています。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所
助教 松平 泉(まつだいら いずみ)
Email: izumi.matsudaira.e4*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学 学際科学フロンティア研究所 企画部
特任准教授 藤原 英明(ふじわら ひであき)
TEL: 022-795-5259
Email: hideaki*fris.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)