【学内・学外対象】2025年5月22日(木) 東北大学Research Showcase vol.7

◇ 東北大学Research Showcase vol.7 ミトコンドリア機能を特異的に制御する研究技術-創薬研究への応用-

概要: 東北大学オープンイノベーション事業戦略機構では、企業と大学の共創のきっかけを提供する場として「東北大学Research Showcase」を企画し、本学の研究リソースを紹介しています。
今回は、細胞内の「発電所」とも呼ばれる小器官の”ミトコンドリア”に着目し、ミトコンドリア内の異常を検出・操作・分解することで、弱ったミトコンドリアの機能を正常に戻す技術について紹介します。ミトコンドリア異常が関与する疾患、エイジングケアへの新たな治療薬やエネルギー代謝を改善する食品・ヘルスケア製品などへの応用が期待され、それら技術の創薬研究への活用の可能性を提案するとともに、企業との連携の可能性についても議論します。
日時: 2025年5月22日(木)18時00分~19時10分
演題: ミトコンドリア機能を特異的に制御する研究技術-創薬研究への応用ー
発表者: 魏 范研 教授(東北大学加齢医学研究所 モドミクス医学分野)
谷 春菜 助教(東北大学加齢医学研究所 核酸修飾・損傷応答研究分野)
友重 秀介 助教(東北大学大学院生命科学研究科 活性分子動態分野)
開催形式: オンライン開催(Zoom Webinar)
参加料: 無料 ※ご参加には事前登録が必要です
詳細・
参加登録URL:
https://www.link-j.org/member_event/article-46435.html

問合せ: 東北大学オープンイノベーション事業戦略機構
(担当:武田、大島)
maili:oi-event@grp.tohoku.ac.jp


【学内・学外対象】2025年4月28日(月) 加齢研 研究員会セミナー

◇ 2025年4月28日(月)加齢研 研究員会セミナーのご案内

日時: 令和7年4月28日(月)15時00分~
場所: 加齢研実験研究棟7階セミナー室1
演題: 片側慢性低灌流モデルマウスにおける脳槽投与後のO-17標識水とGd造影剤の動態の乖離
講師: 小畠 隆行
所属: 量子科学技術研究開発機構
担当: 佐藤 亜希子(統合生理学研究分野・内線 8544)
漆畑 拓弥(統合生理学研究分野・内線 8544)
連絡先: 佐藤 亜希子(統合生理学研究分野・内線 8544)
漆畑 拓弥(統合生理学研究分野・内線 8544)
要旨:

小動物MRIは、多様な計測・画像解析技術に基づき、複数の物理・化学パラメータを計測できる極めて有用なツールであり、臨床MRIとの直接比較が可能であるため、多くの生物・医学研究に利用されている。近年、酸素の安定同位体であるO-17をラベルしたH217Oを用いることで、MRIによる水動態の直接評価が可能となり、新たなアプローチとして注目されている。また、慢性脳低灌流は認知機能低下の原因として知られているが、その病態機序は未だ明らかではない。脳脊髄液の循環は脳からの老廃物の排泄に関与しており、排泄経路の障害が認知機能低下に関与している可能性がある。我々は片側慢性低灌流マウスモデルにおける脳周辺のH217Oを用いた水動態の解析に加え、造影剤であるGd-DTPA用いたMRIにより水よりも大きな老廃物の動態についても解析を実施した。本講演では、脳脊髄液内から脳実質内への水の動態と、さらに大きな分子を持つ造影剤の動態が一致しないことを報告し、MRIによる水動態の計測が脳疾患メカニズムの研究や診断、治療評価に果たす役割について議論したい。

健康行動を支える脳の仕組みを解明 (東北大学大学院情報科学研究科・加齢医学研究所:細田千尋 准教授)

【発表のポイント】
⚫ 平均21歳の健康な大学生約50名を対象に実施した実験で、食事日記を継続的に記録し、そのフィードバックを得ることで、栄養摂取が改善するだけでなく、ウェルビーイングの向上が確認されました。
⚫ 脳の前頭極(注1)の構造が優れている参加者ほど食事日記を継続する傾向が見られ、前頭極が自発的な健康行動の維持に関与している可能性が示唆されました。
⚫ 生活習慣病予防のための健康支援プログラムや企業のウェルビーイング経営、健康経営への応用にも期待される研究成果です。

【概要】
 生活習慣病(注2)の増加は社会的な課題であり、若い頃からの健康的な生活習慣が重要です。しかし、その効果が見えづらいため、健康的な食習慣を維持することは難しく、多くの人が途中で挫折してしまいます。
 東北大学大学院情報科学研究科・加齢医学研究所細田千尋准教授と花王株式会社の共同研究グループは、将来の健康に向けた良い習慣を継続させる脳の仕組みに注目し、支援する方法を検討しました。これまでの研究により、脳の前頭極という部位が、近い将来に向けた行動の維持(GRIT)に関連することは示唆されていましたが、遠い将来の健康目標に対する行動継続への関与の詳細は不明でした。そこで前頭極の構造と健康行動の持続力との関連を調べるとともに、各個人に合わせた個別化フィードバックによる食習慣改善の後押しが可能かを検証しました。その結果、個別化フィードバックが長期的な健康行動の維持とウェルビーイングの向上に有効であることを実証するとともに、前頭極の脳構造が行動維持能力に関与することを明らかにしました。
 本成果は2025年5月2日付で科学誌Scientific Reportsに掲載されました。


図1. 本研究のイメージ図。

【用語説明】
注1.前頭極(ぜんとうきょく):大脳の前頭前野の最前部(額の裏あたり)に位置する領域で、ヒトでは特に発達しています。意思決定や計画立案、複数の課題の切り替え、将来の見通しを立てるといった高度な認知機能に関与し、目標に向かって行動を持続する働きを持つとされています。
注2.生活習慣病:食事や運動、喫煙など日々の生活習慣が発症リスクに深く関与する疾患の総称。代表的なものに糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満、心血管疾患などがある。若いうちの不摂生が中高年期の発症につながることから、生活習慣の改善による予防が重要視されている。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合せ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院情報科学研究科 准教授 細田 千尋
TEL: 022-795-5813 (研究室直通)
Email: chihiro.hosoda.d8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院情報科学研究科
広報室
鹿野 絵里
Email: koho_is*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

がん抑制遺伝子 ARID1A のゲノム安定性における新たな機能の発見 (東北大学加齢医学研究所:宇井彩子 准教授)

【発表のポイント】
⚫ がん抑制遺伝子 ARID1A は多種多様ながんで高頻度に変異していますが、その機能のメカニズムはまだ完全に解明されていません。
⚫ ARID1A の新たなタンパク質間相互作用ネットワークを明らかにし、RNA の代謝、転写、DNA 修復(注1)の因子との相互作用を見出しました。またこれらタンパク質に ARID1A との結合に関与する保存されたアミノ酸配列を発見しました。
⚫ さらに ARID1A が、がんの特徴であるゲノムの不安定性(注2)の抑制に関わる DNA 二重鎖切断修復(注3)に寄与する新規のメカニズムを見出しました。

【概要】
 ARID1A は多種多様ながんで高頻度に変異していますが、その機能とがん化抑制機能のメカニズムはまだ完全に解明されていません。
 東北大学加齢医学研究所分子腫瘍学研究分野の 菅野新一郎講師、小林孝安准教授、田中耕三教授、安井明学術研究員、宇井彩子准教授らは、クロマチン(注4)の構造変化を促すクロマチンリモデリング(注5)複合体における ARID1A の新たなタンパク質間相互作用のネットワークを明らかにし、それらのタンパク質の中に ARID1A との結合に関与する保存されたアミノ酸配列を見出しました。これら ARID1A の相互作用因子の中で、DNA 二重鎖切断の修復に関わる因子との相互作用を新たに発見し、その機能的な意義を明らかにしました。DNA 二重鎖切断は致死的な DNA 損傷であり、その修復異常はゲノム不安定性を引き起こし、細胞のがん化に関わると考えられています。
 今回の発見から、ARID1A が有するゲノム安定性(注6)維持機構における新たな機能とそのメカニズムが明らかになりました。
 本研究成果は、2025 年 3 月 13 日に学術誌 Nucleic Acids Research 誌で発表されました。


図1. 本研究のイメージ図。

【用語説明】
注1.DNA 修復とは、細胞が DNA の損傷を修復する仕組みです。DNAの損傷は、紫外線や化学物質、活性酸素や放射線などによって引き起こされます。
注2.ゲノム不安定性とは、DNA(ゲノム)の修復機能に異常が生じ、変異が起こりやすい状態を指し、がんの特徴の一つです。
注3.DNA 二本鎖切断の修復(DNA double strand break; DSB)とは、 DNA 損傷の中でも特に致死的な DNA の二重鎖が切断された損傷を修復する仕組みです。放射線や活性酸素、がん化学療法剤などによって引き起こされるます。この修復が異常になると細胞死や細胞のがん化を引き起こします。
注4.クロマチンとは、真核生物の細胞の核内に存在する DNA とタンパク質からなる構造体で、染色質とも呼ばれています。遺伝子の発現を調節するなど、生命の活動に重要な役割を果たしています。
注5.クロマチンリモデリングとは、クロマチン(真核生物の細胞核内に存在する DNA とタンパク質の複合体)の構造を動的に調節することで、遺伝子発現(転写)や DNA 修復や DNA 複製を制御する仕組みです
注6.ゲノム安定性とは、ゲノムの変異や異常が起きない状態を指します。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合せ先】
<研究に関すること>
東北大学 加齢医学研究所
准教授 宇井彩子
TEL:022-717-8469
Email:ayako.ui.c7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学加齢医学研究所
広報情報室
TEL:022-717-8443
Email:ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

加齢研研究員会主催 非臨床試験推進分野・心臓病電子医学分野 山家智之教授の退職記念講演が行われました

令和7年3月21日(金)、加齢医学研究所スマート・エイジング研究棟国際会議室において、非臨床試験推進分野・心臓病電子医学分野の山家智之教授の退職記念講演が行われました。
「非臨床試験を駆使した人工臓器開発が加齢現象を抑制する」と題された講演では、山家教授の長年にわたる研究生活や海外でのご経験がユーモアを交えながら語られ、会場は多くの聴衆で埋め尽くされました。



▲ 山家智之教授退職記念講演



▲ 花束贈呈


今年度で退職される松居靖久教授、山家智之教授を送る会が行われました

2025年3月21日(金)15:30〜、スマート・エイジング棟国際会議室で、今年度で加齢医学研究所を退職される、松居靖久教授(医用細胞資源センター)、山家智之教授(非臨床試験推進分野・心臓病電子医学分野)の送る会が行われました。送る会では先生方の略歴が紹介され、松居靖久教授、山家智之教授の挨拶では、これまでの研究に携わってきた中での意義深いお話しに感銘を受けました。



▲左から 魏范研副所長、山家智之教授、松居靖久教授、田中耕三所長

市民講座 I ホワイトデーに贈る恋の歌〜6世紀の時を駆け抜けて〜が行われました

2025年3月14日(金)15:00より、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターは、(一社)ミュージックプロデュースMHKSと共催で、音楽に関する市民講座を開催いたしました。市民講座においては、音楽研究の専門家の宮崎晴代先生をお招きし、6世紀にわたる恋の歌をテーマにしたご講演と、バロック音楽のミニコンサートを実施し、参加者の皆様にお楽しみいただきました。今後もこのような音楽の市民講座を開催し、大学と市民の交流を図る活動を継続していきます。



▲ 宮崎晴代講師(中世・ルネサンス音楽学者)による講座



▲ 満員の会場の様子



▲ ミニコンサート(左から 田中孝子(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、八巻梓(スピネット)、我妻万希子(メゾソプラノ))


音楽セッションが脳と心の健康に与える効果を検証 〜グループでの楽器演奏活動が健康寿命延伸に寄与の可能性〜(東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター:瀧 靖之教授)

【発表のポイント】
⚫ 健常高齢者を対象に、グループ音楽セッション(楽器バンド演奏)の介入を実施することにより、脳の健康(全般的な認知機能・言語性記憶(注1))と心の健康(気分状態)が改善することを確認しました。
⚫ 楽器未経験の高齢者のグループ音楽セッション参加が認知・心理機能への効果をもたらすことが明らかになりました。健康寿命延伸への寄与の可能性をする成果です。

【概要】
 世界的な高齢化の進行とともに、認知症やメンタルヘルスの問題が社会的課題となっています。認知症を予防する方法の一つとして、音楽活動が挙げられます。今までの研究において楽器演奏が認知・心理機能への効果が明らかになっていましたが、楽器未経験の健常高齢者におけるグループ音楽セッションの効果についてはこれまで十分な研究が行われていませんでした。
 東北大学と株式会社池部楽器店は共同研究を行い、楽器未経験の健常高齢者を 16 週間、グループ音楽セッションに参加するグループと参加しないグループに分けて介入を実施したときの認知・心理機能への影響を調査しました。その結果、全般的な認知機能(MMSE スコア)、言語性記憶(WMS-LMⅡ スコア)、気分状態(POMS2:活気・活力スコア)が介入群において有意に改善しました (p<0.05)。
 本研究結果は、グループ音楽セッションが健常高齢者の脳と心の健康の維持・向上に貢献する可能性を示唆しており、今後の効果的な認知症予防、健康寿命延伸のプログラム開発に期待がもたれます。
 本成果は、2025 年 2 月 10 日に科学雑誌 Frontiers in Aging にオンライン掲載されました。


図 1.
(A)グループ音楽セッション群における MMSE の改善
介入の前後(Pre-Post)において、全般的認知機能の指標である MMSE のスコアが有意に改善した。MMSE のスコアが高いほど認知機能が高いことを示す。
(B)グループ音楽セッション群における WMS-LMⅡ の改善
介入の前後(Pre-Post)において、言語性記憶の指標である WMS-LMⅡ のスコアが有意に改善した。WMS-LMⅡの スコアが高いほど認知機能が高いことを示す。
(C) グループ音楽セッション群における POMS2(活気 – 活力)の改善
介入の前後(Pre-Post)において、気分状態の活気と活力の指標である POMS2 の Vigor-Activity スコアが有意に改善した。活気 – 活力のスコアが高いほど活気・活力の気分状態が良いことを示す。

【用語説明】
注1. 耳で聞いた情報を記憶しておくこと: (言語性記憶)

詳細(プレスリリース本文)

【問い合せ先】
<研究に関すること>
東北大学
スマート・エイジング学際重点研究センター
教授 瀧 靖之
助手 品田 貴光
TEL:022-717-8582
E-mail:nmr_office*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学加齢医学研究所 広報情報室
TEL:022-717-8443
E-mail : ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

学際ハブ領域展開プログラム第二回シンポジウムならびにサテライトシンポジウムが開催されました

2025年2月27-28日の日程で、学際ハブ領域展開プログラムの第二回シンポジウムならびにサテライトシンポジウム「学際ハブが実現する新しいがん悪液質研究」が行われました。学際ハブは金沢大学がん進展制御研究所、大阪大学微生物病研究所、慶應義塾大学先端生命科学研究所、東北大学加齢医学研究所からなる共同事業で、金沢大学がん進展制御研究所が牽引しています。癌・老化・炎症・代謝がキーワードで、今回は、加齢医学研究所がシンポジウム開催を取り仕切りました (写真1)。

2月27日は第二回シンポジウム「健康寿命の延伸に向けた集合知プラットフォームの形成」を開催しました。本学杉本亜砂子理事および加齢医学研究所 田中耕三所長のopening remarks (写真2) でスタートしたシンポジウムは、多様性に富む12名の講演者の先生がたによって大きく盛り上がりました。

▲ 写真1 会場のスマート・エイジング棟国際会議室
▲ 写真2 加齢医学研究所 田中耕三所長の開会の挨拶

最初のセッションは老化&代謝がトピックで、加齢研 佐藤准教授が座長を務め、大阪大学微生物病研究所の石谷太教授のご発表によって幕を開けました。石谷太教授によるキルフィッシュのお話、慶應義塾大学曽我朋義教授のよる代謝解析のご講演、東北大学医学系研究科村上昌平助教による超硫黄分子と筋肉の関係に関するご講演、大阪大学微生物病研究所高倉伸幸教授による血管内皮幹細胞のお話は、いずれも極めて興味深く、質疑の時間が足りないほどでした (写真3) 。休憩時間は加齢研名物の「齋藤さんのコーヒー」や喜久福の大福などが振る舞われました (写真4)。

▲ 写真3 (上段左から)石谷太教授、曽我朋義教授 (下段左から)村上昌平助教、高倉伸幸教授
▲ 写真4 休憩時間の様子

第二セッションはがんに関する研究を中心に、加齢研 千葉教授が座長を務めました。金沢大学がん進展制御研究所の後藤典子教授による乳がん幹細胞のご講演に始まり、同研究所 大島浩子准教授による胃がんの肝臓転移の機構に関するお話、九州大学菊繁吉謙講師先生による慢性骨髄性白血病における代謝制御に関するご発表、加齢医学研究所 田中耕三所長によるがん細胞の染色体異常に関するお話の4件でした(写真5)。

第三セッションはショートトークで、座長は加齢研 瀧教授が務めました。大阪大学微生物病研究所の金森茜特任研究員による細胞外小胞のお話、金沢大学がん進展制御研究所の福田康二助教によるKRAS変異がんのWee1依存性に関するご発表、慶應義塾大学先端生命科学研究所のJiayue Yang特任助教による腸内細菌のお話、そして加齢医学研究所竹本あゆみ助教による社会的な孤独やアバターに関する発表が続きました。学際ハブの多様性が詰まったようなセッションで、議論が大いに盛り上がりました(写真6)。

▲ 写真5 (上段左から)後藤典子教授 、大島浩子准教授 (下段左から)菊繁吉謙講師、田中耕三教授
▲ 写真6 (上段左から)金森茜特任助教、福田康二助教 (下段左から)Jiayue Yang特任助教、竹本あゆみ助教

セッション終了後は金沢大学がん進展制御研究所鈴木健之所長のお話があり、本領域のロゴマークや今後についてのお話がありました。その後、シンポジウム会場であるスマートエイジング研究棟で懇親会が開かれ、学際ハブの今後についての議論に花が咲きました(写真7)。

2月28日はサテライトシンポジウム「学際ハブが実現する新しいがん悪液質研究」が開催されました。学際ハブをきっかけとして4研究所を中心にした新しいがん悪液質研究を推進しようという狙いで、学際ハブ内外から第一線で活躍されている先生がたを招聘しました。

第一セッションは加齢研 魏教授が座長を務め、同研究所 河岡准教授が趣旨説明と問題提起をいたしました。続いて愛知県がんセンターの青木正博分野長によるがん個体の肝臓に対するマルチオミクス解析、金沢大学がん進展制御研究所平尾淳教授によるニコチンアミド代謝を狙った新規計測技術のお話が続きました。第二セッションは加齢研 河岡准教授が座長を務め、大阪大学微生物病研究所高倉伸幸教授 (2日連続のご講演!!) による血管をターゲットにした悪液質制御のご発表、京都府立医科大学髙山浩一教授によるがん悪液質治療の最前線に関するお話、最後に国立がんセンターの光永修一医長によるがん悪液質のトランスレーショナル研究に関するご講演でした。高山浩一教授と光永修一医長はがん悪液質に関する臨床研究の最前線にいらっしゃり、臨床・基礎の両方の先生がたが議論し合う素晴らしいセッションとなりました (写真8)。最後のディスカッションセッションではそれぞれの先生がたがセッションを総括するコメントを出され、実りある議論がなされました。

▲ 写真7 第一日目終業後の懇親会
▲ 写真8 (上段左から)青木正博分野長、平尾淳教授 (下段左から)高倉伸幸教授、高山浩一教授、光永修一医長

学際ハブの今後にとって非常に重要なシンポジウムになりました。
加齢研まで足を運んで下さった先生がた、どうもありがとうございました。
次は9月に金沢で行われる癌学会を場に再集結することを楽しみにしております。

シンポジウムオーガナイザー・教授 魏范研、准教授 河岡慎平

アバターによる保険相談がコンサルタントの体内に与える影響に関する研究を開始いたしました(東北大学加齢医学研究所:生体情報解析分野:河岡慎平 准教授)

【発表のポイント】
⚫ 株式会社国際電気通信基礎術研究所(以下、「ATR」)、国立大学法人東北大学(以下、「東北大学」)および株式会社アドバンスクリエイト(以下、「アドバンスクリエイト」。東証プライム・福証・札証、証券コード:8798)は、アバターによる保険相談がオペレーター(コンサルタント)の体内に与える影響に関する研究(以下、「本研究」)を開始いたしましたので、お知らせいたします。
⚫ コンサルタントが、オンライン保険相談においてアバターを用いることにより、体内にどのような影響を受けるのかを血液検査を含めて調査いたします。
⚫ 本研究によって、アバターに対するコンサルタントの適性を多角的に明らかにし、その知見をもとに適性に合わせたアバアターや生成 AI を活用する仕組みを提供することを目指します。

【本研究の概要】
 アドバンスクリエイトのコンサルタントの中から、本研究に協力するコンサルタントを募り、実際にお客さまとオンライン保険相談を行っているときのコンサルタントの生体影響を調査いたします(図1)。具体的には、オンライン保険相談対応中の脈拍の計測や、その前後に採血やアンケート等を行い、アバター使用時、アバター不使用時で、どのような変化が見られるかについて多層的な調査を行います。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
<研究に関すること>
東北大学加齢医学研究所
生体情報解析分野
准教授 河岡 慎平
TEL:022-717-8568
E-mail:shinpei.kawaoka.c1*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学加齢医学研究所
広報情報室
TEL: 022-717-8443
Email: ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)