東北大学との認知症予防に関する共同研究結果 一定の条件下の旅行における 認知症リスク低下の可能性を確認

東北大学との認知症予防に関する共同研究結果
一定の条件下の旅行における
認知症リスク低下の可能性を確認

【概要】
クラブツーリズム株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:酒井博、以下クラブツーリズム)と
国立大学法人東北大学(宮城県仙台市、大野英男総長)とは、共同で「旅行が認知症予防にもたらす効
果」を研究し、一定の条件下の旅行における認知症リスク低下の可能性を確認いたしました。本研究は、
2021 年 3 月の学術論文雑誌「Humanities and Social Sciences Communications」に掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)

低酸素によって脳障害が起こる新たなメカニズムの解明 脳卒中や心停止に対する治療法開発に期待

低酸素によって脳障害が起こる新たなメカニズムの解明
脳卒中や心停止に対する治療法開発に期待

【発表のポイント】
● 低酸素になると脳では硫化水素や過硫黄化物が蓄積しやすいことがわかりました。
● 繰り返して硫化水素に曝露すると、硫化水素や過硫黄化物への抵抗性が生まれ、
それにより低酸素に対しても強くなることがわかりました。
● 脳虚血や心停止などによる脳の低酸素障害の新たな治療法開発が期待されます。

【概要】
哺乳類の脳は低酸素になると障害を受けやすいことがわかっていますが、その分子メカニズムは不明でした。東北大学加齢医学研究所遺伝子発現制御分野の本橋ほづみ教授と同大学院医学系研究科環境医学分野の赤池孝章教授の研究グループは、ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院麻酔科の市瀬史教授らの研究グループとの共同研究により、脳において硫化水素・過硫黄化物の代謝を促進すると、低酸素における脳の障害が緩和されることを発見しました。低酸素になると細胞内のミトコンドリアの硫黄呼吸が亢進しますが、それに伴って硫化水素・過硫黄化物のレベルが増加します。しかし、脳ではそれらの代謝酵素である SQOR*1が少ないため、SQOR が担う硫黄を利用したエネルギー産生がうまく進まず、硫化水素・過硫黄化物の毒性が出やすいことがわかりました。本研究成果は、脳虚血や心停止などの際、脳を低酸素による障害から守る新たな治療法開発につながるものと期待されます。

本研究成果は、5月25日に英国の学術誌 Nature Communications 誌に掲載されます

【用語説明】
*1 SQOR:Sulfide (硫化水素)-Quinone (キノン) oxidoreductase (オキシドレダクターゼ) の略。硫化水素や過硫化水素を酸化して、ミトコンドリアの電子伝達系に存在するユビキノンを還元する酵素。生理的な機能としては、ミトコンドリアにおける硫黄代謝を担う酵素の一つで、ミトコンドリアのエネルギー産生を支える役割がある。高濃度の硫化水素に対しては解毒酵素として働く。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
東北大学加齢医学研究所
担当 教授 本橋 ほづみ
電話 022-717-8550
E-mail hozumim*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

染色体の誤った結合を“ふるい落とす” 染色体数を正確に保つための新たなしくみの発見

染色体の誤った結合を“ふるい落とす”
染色体数を正確に保つための新たなしくみの発見

【発表のポイント】
● 細胞分裂の際、染色体が紡錘体上で反復運動(オシレーション)を行うことによって、微小管との誤った結合を解消し、染色体数の異常が起こるのを防いでいることがわかりました。
● がん細胞では、染色体オシレーションが減弱しており、これががん細胞でよく見られる染色体異常の一因ではないかと考えられます。

【概要】
染色体数が細胞分裂を通じて正確に保たれるには、紡錘体注1上で染色体が微小管と正しく結合する必要があります。東北大学加齢医学研究所・分子腫瘍学研究分野の家村顕自助教、田中耕三教授らの研究グループは、国立遺伝学研究所の夏目豊彰助教・鐘巻将人教授、畿央大学の前原佳代子教授と共同して、染色体オシレーションとして知られている染色体の紡錘体上での反復運動が、染色体と微小管との誤った結合を解消することで、染色体が不均等に分配されるのを防いでいることを明らかにしました。がん細胞株では正常細胞株と比較して染色体オシレーションが減弱しており、このことが多くのがん細胞で見られる染色体異常の一因ではないかと考えられます。
本研究成果は、5月14日に学術誌Journal of Cell Biology誌に発表されました。

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図 染色体オシレーションによる動原体と微小管の誤った結合の解消
(左)動原体が紡錘体極に近づくと、Hec1が紡錘体上のAurora Aによってリン酸化され、誤った結合が解消される。(右)がん細胞では染色体オシレーションが減弱しているため、誤った結合が解消されず、染色体の不均等な分配が起こる。

【補足説明】
注1 紡錘体: 細胞分裂の際に染色体を分配するための構造物であり、2つの中心体が極となって、そこから伸びた微小管が中央で重なり合うことで紡錘形をとる。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
東北大学加齢医学研究所
教授 田中 耕三
E-mail: kozo.tanaka.d2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
tel: 022-717-8491

遠藤栞乃さん(腫瘍生物学分野)が令和3年度「東北大学大学院医学系研究科女子大学院学生奨励賞(七星賞)最優秀賞」を受賞しました。

遠藤栞乃さん(腫瘍生物学分野)が令和3年度「東北大学大学院医学系研究科女子大学院学生奨励賞(七星賞)最優秀賞」を受賞しました。

東北大学大学院医学系研究科医科学専攻博士課程4年(腫瘍生物学分野)の遠藤栞乃さんは、「遺伝性乳がんの診断と抗がん剤感受性予測のためのDNA修復活性測定法の開発」という研究題目で、令和3年度「東北大学大学院医学系研究科 女子大学院学生 奨励賞(七星賞)最優秀賞」を受賞しました。
東北大学大学院医学系研究科女子大学院学生奨励賞(七星賞)は、優秀な女子大学院学生が自信を持ち、諦めることなく研究者キャリアの道を歩むことを奨励し、医学・医療等の分野で活躍する女性リーダー育成の一翼を担うことを目的として2015年に設立されました。
2021年4月19日に医学部1号館大会議室で授与式が行われました。

詳細URL
https://www.med.tohoku.ac.jp/enc/nanase/index.html

[問い合わせ先]
東北大学加齢医学研究所
腫瘍生物学分野 教授 千葉奈津子
TEL: 022-717-8477
E-mail; natsuko.chiba.c7@tohoku.ac.jp

【Web開催】10th Symposium of the Smart-Aging Research Center, Tohoku University(4/16-5/31開催)

【Web開催】10th Symposium of the Smart-Aging Research Center, Tohoku University(4/16-5/31開催)

国内外の研究者と連携し、本学の総力を挙げてスマート・エイジングの実現に挑戦するため、2017年4月1日付けで、認知症の超早期二次予防、一次予防の確立を目指す世界初の研究組織「スマート・エイジング学際重点研究センター」が創設されました。スマート・エイジングの実現という目標に向けて、基礎生命科学から人文社会科学に渡る様々な学問領域が一丸となって予防医学の発展、介入・補助技術の開発、医療制度・社会制度の改革に資する研究を目指します。

第10回となったシンポジウムでは、「スマート・エイジングの実現に向けた生命科学基礎研究の可能性」をテーマとして、さまざまな生命科学領域の基礎研究で活躍中の若手研究者5名が発表を行います。社会への出口を見据えた発表をぜひお聞き下さい。多くのご参加をお待ちしております。

日時:
令和3年4月16日(金)
5月11日(火)
5月20日(木)
5月26日(水)
5月31日(月)
各17:00~17:50

会場:オンライン(Zoom)にて開催

参加費:無料

使用言語:英語

詳細・申込:メール(詳細はポスターをご覧ください)

主催:スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長 本橋 ほづみ

問い合わせ先:
スマート・エイジング学際重点研究センター シンポジウム事務局
東北大学加齢医学研究所 〒980-8575 仙台市青葉区星陵町4-1
電話番号:022-717-8824
e-mail:sac-symposium*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

クラウドファンディング「Withコロナ!地域医療と先進医療の要を育てる」開始のお知らせ

クラウドファンディング「Withコロナ!地域医療と先進医療の要を育てる」開始のお知らせ

国立大学法人東北大学は、クラウドファンディングサービス「READYFOR」を運営するREADYFOR株式会社と業務提携しており、様々なプロジェクトに挑戦しています。今回、東北大学病院と東北大学医学部が共同で新たなプロジェクトを開始しました。プロジェクト詳細は以下の通りです。みなさまからのご支援をお待ちしております。

■プロジェクト:「Withコロナ!地域医療と先進医療の要を育てる」
■募集期間:2021年2月2日(火)13:00〜2021年4月30日(金)23:00
■概要:
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により影響を受けているすべての方にお見舞い申し上げます。
いま、重症例の増加にともない、体外式膜型人工肺(ECMO)や人工呼吸器を使用する患者さんが急増し、それら機器を扱う医療従事者の育成が待った無しの課題となっています。
東北大学医学部には、医療技術研修施設「東北大学クリニカル・スキルスラボ 」があります。当研修施設に最新の機器をそろえ研修環境を充実させ、一人でも多くの重症患者さんを救う医療従事者の育成を目指し、この度東北大学病院と共同でクラウドファンディングに挑戦します。
皆様からのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

ご支援の方法について

■問い合わせ先:
クラウドファンディング事業に関すること
東北大学医学部総務課 TEL:022-717-8006
東北大学基金事務局 TEL:022-217-5058

東北大学クリニカル・スキルスラボ やリターンに関すること
東北大学クリニカル・スキルスラボ  TEL:022-717-8867

令和4度東北大学加齢医学研究所共同利用・共同研究の公募について

令和4年度東北大学加齢医学研究所共同利用・共同研究の公募について

東北大学加齢医学研究所では、加齢医学に関する共同利用・共同研究を行っております。
募集要項のとおり公募いたしますので、奮ってご応募ください。

【詳細URL】
https://www.idac.tohoku.ac.jp/site_ja/joint-program

【問い合わせ先】
加齢医学研究所 研究推進係 022-717-8445
ida-sen@grp.tohoku.ac.jp

シグナル情報伝達を担う RNA 由来の液性因子を発見 -炎症疾患の新たな核酸医薬開発に期待-

シグナル情報伝達を担う RNA 由来の液性因子を発見
-炎症疾患の新たな核酸医薬開発に期待-

【発表のポイント】
● 生体内に存在する「N6-メチルアデノシン(m6A)注 1)」がアレルギーなどの炎症を引き起こすことを発見しました。
● m6A をはじめとする修飾ヌクレオシド注 2)は、修飾された RNA の代謝産物として生体に存在することが知られていましたが、生理的意義は不明でした。
● RNA 修飾を網羅的に検出する RNA モドミクス解析注 3)を用い、修飾ヌクレオシドが受容体シグナル応答を強く引き起こし生理作用を持つことを初めて明らかにしました。

【概要】
RNA がメチル化などの修飾を受けることが近年明らかになり、RNA 修飾研究が世界的に盛んな研究分野となっています。東北大学加齢医学研究所の小川亜希子助教と魏范研教授(前熊本大学大学院生命科学研究部)は、RNA 修飾を網羅的に検出する「モドミクス技術」を用いて解析し、東北大学大学院薬学研究科の井上飛鳥准教授、熊本大学大学院生命科学研究部の富澤一仁教授、井上俊洋教授、熊本大学病院の谷原秀信病院長、東京大学大学院工学系研究科の鈴木勉教授、東京大学大学院理学系研究科の志甫谷渉助教、濡木理教授らと共同研究を行い、RNA 修飾の代謝後に生じる「N6-メチルアデノシン(m6A)」が強力な受容体シグナル応答を引き起こし、アレルギーなどの炎症を惹起することを発見しました(図 1)。
これまで RNA 修飾の細胞内の機能については数多くの報告がありますが、代謝後に細胞外へ分泌される因子の生理作用については知られていませんでした。生体内の生理活性を持つ液性因子として、RNA 由来の修飾ヌクレオシドが重要な役割を担うことを新たに提唱しました。今後、血液中・尿中あるいは眼内の修飾ヌクレオシドを調べることで、様々な疾患に対する診断や治療の発展が期待されます。
本研究結果は 1 月 20 日付(米国時間 1 月 19 日)の米科学誌「Molecular Cell」に掲載予定です。

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図1 本研究の概要

【補足説明】
注1) N6-メチルアデノシン(m6A)
アデノシンの6 位の窒素原子がメチル化された分子。mRNAに最も豊富に存在する修飾の1つである。近年、m6A修飾がmRNAに存在し、mRNAの局在、安定性、翻訳効率を制御し、胚発生などの生命現象に関わることが明らかになり、現在最も注目度の高いRNA修飾である。

注2) 修飾ヌクレオシド
ヌクレオシドとは塩基と糖が結合した分子で、RNAの原材料の1つ。修飾ヌクレオシドとは、ヌクレオシドの塩基あるいは糖にメチル化やアセチル化などの修飾が施された分子。

注3) RNAモドミクス法
質量分析によって、高感度かつ網羅的にRNA修飾を検出する分析法。

詳細(プレスリリース本文)

【問い合わせ先】
東北大学加齢医学研究所
モドミクス医学分野 教授 魏 范研
E-mail: fanyan.wei.d3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
tel: 022-717-8562

【オンライン開催】加齢医学研究所研究員会主催 荒井啓行教授退職記念講演 IDAC Seminar to commemorate the retirement of Professor Arai

【オンライン開催】加齢医学研究所研究員会主催 荒井啓行教授退職記念講演 IDAC Seminar to commemorate the retirement of Professor Arai

日時:
令和3年3月9日(火)16時~17時
Tuesday, 9 March 2021, 16:00~17:00

オンライン開催(Zoom)

講 師:荒井啓行 Hiroyuki Arai

所 属:東北大学加齢医学研究所 脳科学研究部門 老年医学分野
Department of Geriatrics & Gerontology, Division of Brain
Science, Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

演 題:アルツハイマー病の理解と克服に向けた脳科学研究
For better understanding of Alzheimer’s disease and development
of disease-modifying therapy

連絡先:冨田尚希(所属 老年医学分野 ・内線 7182 )
Naoki Tomita (Department of Geriatrics & Gerontology, ext7182)

要 旨: アルツハイマー病(AD)の症状改善薬として、塩酸ドネペジルなど4種類の薬剤が保険収載され、日常診療に広く用いられている。一方で、アミロイド蛋白の生成阻止、除去或いは凝集阻害などADの発症メカニズムに介入し、病勢を停止させることが期待される「疾患修飾薬」は、最も重要かつ切望されている薬剤であり、一刻も早く優れた治療薬が実用化されることが望まれ、臨床現場において大きな「Unmet
Needs」となっている。2025年までに疾患修飾薬を市場化する目標に向けて、2020年現在アミロイド抗体薬など121種類の新薬治験が進行中である。特に、認知症と呼ばれる進行したステージのADではなく、発症前AD,
前駆期ADなど(超)早期段階における疾患修飾薬治験が主流となりつつある。また、治験を支援するツールとして高精度バイオマーカーの開発が必須とされ、脳脊髄液タウ・リン酸化タウ、Aβ42、アミロイドイメージング、タウイメージングは概ね標準化され、治験遂行の重要なツールとなっている。現在さらに、脳病理像を反映した簡便な血液バイオマーカーの開発が精力的に進められている。

【Web開催】9th Symposium of the Smart-Aging Research Center, Tohoku University(1/13-3/11開催)

【Web開催】9th Symposium of the Smart-Aging Research Center, Tohoku University(1/13-3/11開催)

国内外の研究者と連携し、本学の総力を挙げてスマート・エイジングの実現に挑戦するため、2017年4月1日付けで、認知症の超早期二次予防、一次予防の確立を目指す世界初の研究組織「スマート・エイジング学際重点研究センター」が創設されました。スマート・エイジングの実現という目標に向けて、基礎生命科学から人文社会科学に渡る様々な学問領域が一丸となって予防医学の発展、介入・補助技術の開発、医療制度・社会制度の改革に資する研究を目指します。

第9回となったシンポジウムでは、「健康長寿の実現に挑む生命科学研究」をテーマとして、さまざまな生命科学領域の基礎研究で活躍中の若手研究者12名が発表を行います。社会への出口を見据えた発表をぜひお聞き下さい。多くのご参加をお待ちしております。

日時:
令和3年1月13日(水)、1月20日(水)、1月28日(木)、2月1日(月)、2月10日(水)、3月4日(木)、3月10日(火)、3月11日(木)、各17:00~17:40
2月17日(水)、2月24日(水)、各17:00~18:40

※各講演後に質疑応答の時間が10分程度あります。

会場:オンライン(Zoom)にて開催

参加費:無料

使用言語:英語

詳細・申込:メール(詳細はポスターをご覧ください)

主催:スマート・エイジング学際重点研究センター 副センター長 本橋 ほづみ

問い合わせ先:
スマート・エイジング学際重点研究センター シンポジウム事務局
東北大学加齢医学研究所 〒980-8575 仙台市青葉区星陵町4-1
電話番号:022-717-8824
e-mail:sac-symposium*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)