大動脈弁狭窄症に伴う消化管出血がカテーテル治療で改善! 〜心臓と消化管の関連が明らかに 〜(基礎加齢研究分野:堀内教授)

【本研究成果のポイント】
⚫ 高齢化社会で増加している大動脈弁狭窄症では消化管出血を合併することがしばしばあり、ハイド症候群と呼ばれています。大動脈弁の狭窄箇所で血流が速くなり、止血因子(フォンウィルブランド因子)が過度に分解されることによる止血異常症と、消化管粘膜に発生する出血しやすい異常血管(消化管血管異形成)の出現が消化管出血の原因と考えられています。特に後者に関しては世界的にも研究が進んでおらず実態が不明でした。
⚫ 大動脈弁狭窄症に伴う消化管出血の実態を明らかにするため、大動脈弁のカテーテル治療が予定されている貧血のある重症大動脈弁狭窄症の患者 50 名に内視鏡検査を行い、臨床経過とともに解析しました。
⚫ (1)多数の血管異形成が消化管に存在した(2)10%で出血を認めた(3)心臓を治療すると消化管の出血が改善しました。
⚫ 循環器疾患の治療と消化管粘膜病変が密接に関連しているという驚くべき知見です。

【概要】
京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科学 後期専攻医 彌重匡輝、同 准教授 全 完、消化器内科学 助教 井上 健、東北大学 加齢医学研究所 基礎加齢研究分野 教授 堀内久徳、同 大学院生 道満剛之ら研究グループは、貧血のある重症大動脈弁狭窄症患者のうち 94%に見られる消化管出血性病変に対して大動脈弁のカテーテル治療を行うと、消化管出血性病変の数や大きさが改善することを明らかにしました。本件に関する論文が、医学雑誌『New England Journal of Medicine』に 2023 年 10 月 19 日付けで掲載されることとなりましたのでお知らせします。
本研究は、大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療が重症大動脈弁狭窄症患者の消化管血管異形成を消退させることを初めて明らかにしました。循環器疾患の治療と消化管粘膜病変が密接に関連している驚くべき知見でした。本研究成果をもとに、今後は大動脈弁狭窄症に伴う消化管血管異形成の形成・消退メカニズムが解明され、治療の改善に繋がることが期待されます。

詳細(プレスリリース本文)

【お問い合わせ先】
<本研究に関すること>
東北大学加齢医学研究所 基礎加齢研究分野 教授 堀内 久徳
E-mail:hisanori.horiuchi.e8*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学加齢医学研究所 広報情報室
TEL:022-717-8443
E-mail : ida-pr-office*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)