◇ 2025年9月29日(月)加齢研セミナーのご案内
日時: | 2025年9月29日(月)16時~ |
場所: | 加齢医学研究所 実験研究棟7階 セミナー室1 |
演題: | 視床下部Ppp1r17神経細胞による老化・寿命制御 |
講師: | 時實 恭平 |
所属: | ワシントン大学セントルイス校医学部 発生生物学部 |
要旨: | 老化とは、加齢に伴うさまざまな生体機能の低下を指し、その根底には臓器間の相互連関が深く関与していることが明らかになりつつある。哺乳類において、このような臓器連関や老化・寿命制御の中枢的役割を果たすのが視床下部である。中でも、視床下部背内側核(dorsomedial hypothalamus: DMH)に存在するPpp1r17陽性神経細胞群は、交感神経を介して白色脂肪組織の機能を調節し、老化や寿命の制御に重要な役割を担うことが示された。具体的には、DMHにおけるPpp1r17陽性神経細胞では、プロテインキナーゼG(PKG; Prkg1)によって制御されるPpp1r17の加齢依存的な局在変化がシナプス機能を障害し、その結果として白色脂肪組織の機能障害を引き起こす。さらに、DMH特異的なPrkg1ノックダウンおよび薬理遺伝学的手法による当該神経細胞の活性化は、加齢に拮抗し、寿命延伸をもたらすことが確認された。本セミナーでは、これらの知見を出発点として、視床下部—末梢臓器間の神経ネットワークを介した老化制御機構の理解に向けた展望を提示し、今後の研究課題についても議論する。 |
担当・連絡先: | 佐藤 亜希子(統合生理学研究分野・内線8544) |