◇ 2023年9月6日(水)加齢研研究員会セミナーのご案内

日時: 令和5年9月6日(水)午後4時~5時
場所: 加齢研実験研究棟7階 セミナー室(1)
演題: アルツハイマー病の分子細胞病態解明と創薬研究
講師: 富田 泰輔
所属: 東京大学大学院薬学研究科 機能病態学教室
担当: 家村顕自 (所属 分子腫瘍学研究分野・内線 8490 )
要旨: 認知症の主な原因はアルツハイマー病(AD)であり、AD は神経細胞死、アミロイドβ (Aβ)の老人斑細胞外蓄積、およびタウの神経原線維変化によって特徴付けられる。AD では Aβ産生や凝集性を亢進する遺伝子変異が関与し、抗 Aβ抗体の治験では、老人 斑の減少とタウ蓄積の低下が観察され、これら病理像の病的連関も明らかとなった。一 方、これら異常タンパク質の凝集・蓄積は発症の 10 年以上前から始まり、慢性炎症反応 が重要な役割を果たすと考えられている。加えて、シングルセル解析技術の進歩により、 異なるタンパク質によって異なる炎症応答性を示すグリア細胞が同定され注目されてい る。また我々は最近、様々な凝集タンパクのクリアランスを促進する新たな創薬モダリティ として低分子化合物と光照射を用いた光認知症療法の開発を進めている。本講演では、 AD の分子細胞病態と創薬研究の現状と新たな展開について紹介する。