◇ 2023年8月7日(月)加齢研研究員会セミナーのご案内

日時: 令和5年8月7日(月)午後4時30分~
場所: 加齢研実験研究棟7階 セミナー室(1)
演題: 1.DNAポリメラーゼ動態から見るゲノム安定性
2.DNA複製ストレスなどで誘発されるDNA脱塩基損傷の新規修復経路のメカニズムの解明
講師: 大学 保一
増田 雄司
所属: 1公益財団法人がん研究会 がん研究所 がんゲノム動態プロジェクト
2名古屋大学環境医学研究所ゲノム動態制御分野
担当: 宇井彩子 (所属 分子腫瘍学研究分野・内線 8469 )
要旨: DNA複製は生命の増殖に重要であり、その制御異常は老化や発がんをもたらす。DNA複製においてDNAポリメラーゼがその中核を担うが、真核生物のDNA複製機構は出芽酵母・分裂酵母など、比較的小さなゲノムDNAを持つ生物において研究が行われてきた。しかしヒトを含む格段に大きいゲノムを持つ哺乳類細胞においては、酵母より多くのDNAポリメラーゼが関与するなど、その機構は複雑で不明点が多い。そこで演題1では、特定のヒトDNAポリメラーゼの合成領域を全ゲノムに渡りプロファイリングし、各ゲノム領域の複製フォークの動態を含めて定量的に解析する方法を確立した。これにより解明された複製フォーク動態と、DNAポリメラーゼ機能がゲノム安定性に及ぼす影響を議論する。演題2では、近年DNA複製ストレスなどで生じた一本鎖DNAの脱塩基部位に結合して毒性のDNA二重鎖切断の形成を防ぐタンパク質であるHMCESとそのDNAクロスリンクによるDNA複製保護機構が発見されたが、このHMCESのDNA複製への影響やその後のクロスリンクの解消と共役する修復機構は不明であった。そこで今回新たに、DNA-HMCESクロスリンク損傷及びDNA-チアゾリジン損傷を含むDNAの合成法が開発され、それにより新規DNA修復機構のメカニズムが発見されたので、その詳細を議論する(より詳細な要旨は参考資料)。
参考資料(要旨集)