瀧 靖之
Yasuyuki TAKI
 

趣味・知的好奇心は生涯健康脳に重要!

趣味を持つことが認知症発症のリスクを下げるだけでなく、健常者の脳萎縮速度を抑えることを発見
 


私はこどもの頃から本当に多趣味でした。スキー、スノーボード、車、貝の収集、蝶の採集や標本作製、ピアノ、他にも色々有りました。単に趣味と言うより、その熱の入れようは本当に病気です。例えばスノーボードはアルペン、フリースタイル両方乗りますし、学生時代は11月の人工雪の季節から7月末の月山まで年間70回は行き、スキーは1級をとりました。車は今4台所有していますが、全て10年~30年前の古い中古車で、学生時代は自分で車検も通していました。クラシックカーフェスティバルでも2回受賞しています。蝶の標本箱は何十箱もあり、寝る前はいつも蝶の洋書の図鑑を読んでいます。ピアノも恥ずかしながら、小学生に混ざって発表会にも出ました。私がここまで趣味に熱を入れるのは、世の中は本当に知らないことだらけで、知りたくてたまらない、見たくてたまらない、経験したくてたまらないという強い気持ちからです。ちょうど脳研究に携わるようになり、ずっと思うことがありました。

それは、このような好奇心というものは、本当に刺激的で人生をワクワクさせ、必ずや脳にもいいのではという思いがありました。そこで、ある時点での知的好奇心のレベルと、その後8年間の脳萎縮速度を成人400人を対象に縦断解析したところ、知的好奇心レベルが高い程、高次認知機能を担う重要な領域である、側頭頭頂部の局所灰白質体積の減少が有意に少ない、と言うことが明らかになりました(Taki et al., Human Brain Mapping, 34, 3347-53, 2013)。前後して、複数の疫学研究で、認知症のリスクを下げるのは運動と共に、趣味や好奇心を持つことが非常に重要との発表がありました。自分が身を以て感じてきたことが科学的にも証明されてきたことで、本当に私にとって印象的な研究になりました。私は結局のところ、辛い研究生活も実は趣味の1つなのかなとも最近思っています。

次回は、分子腫瘍学の田中先生です。

名 前:瀧 靖之(たき やすゆき)

出身地:北海道
趣 味:スキー、スノーボード、車、貝の収集、蝶の採集や標本作製、ピアノ他
分野名:機能画像医学研究分野