瀧 靖之
Yasuyuki TAKI
 

「美」

~美は人生の原動力~
 



 みなさんは何が人生の原動力になっていますでしょうか。研究者は美しい研究結果が得られた時、美食家は美味しい食べ物に巡り合った時、芸術家は美しい絵画や音楽に触れたり、あるいは作品を仕上げた時かもしれません。いずれにしても私は、美は人生の一番の原動力なのではと思っています。

 私自身は、子どもの頃からずっと様々な「美」に非常に心を揺さぶられてきました。思い起こすと、物心ついたころからチョウの美しさに惹かれ、ミヤマカラスアゲハの春型のメスに出会った時は特に美しさに圧倒され、いつも昆虫採集に明け暮れていました。また、タカラガイやホネガイ、アクキガイ等の美しさにも惹かれ、貝殻の収集もしていつも並べていました。また自然だけでなく、芸術や工業デザインの美しさにも本当に惹かれてました。絵画、音楽、車や建物、色々なものに美しさを見出してきました。美しいデザインの車をいつまでも眺めたり、クラシックやロック等の美しい旋律の音楽を奏でるためにピアノやドラムを習って練習に明け暮れ、出張や旅行では、見たことの無い高層建築や美しい建物を見て感動しています。更にはデザインの美しいスキー板や古いMacintoshの数々を並べて、いつまでも見入っています。小説や古典文学でも、その表現や響きの美しさに感動することも多いです。

 こうやって考えると、人生の目的は、様々な美に触れて感動することにあるのかなと思わずにはいられません。少なくとも私は、美を追求するために生きているように日々感じています。脳科学の観点からも美は興味深い対象です。これまでの多くの研究から、美しさに関わる脳領域として、前頭眼窩部、側坐核など複数の領域が関わっていることが明らかになっています。また、美に関しても、芸術の美しさだけでなく、数式の美しさ、更には道徳的な行動の美しさでもこれらの領域が活動することが明らかになっていて、私たちの美という感情は非常に奥深く複雑なものであることが示唆されています。

 今日もまた新しい美、あるいは身近な美の再認識が出来ることを期待しながら、頭をリレーブログ執筆モードから仕事モードに戻して、本稿を閉じたいと思います。

名 前:瀧 靖之(たき やすゆき)

出身地:北海道
趣 味:美の追求、誰よりも古い車に乗ること、誰よりもノスタルジーにふけること、その他沢山
分野名:臨床加齢医学研究分野