野田 雅史
Masafumi Noda
 

美里町

小さい頃の思い出
 



約1年半前に父が他界した。父の生家は美里町(旧南郷町)で大正時代に建てられた旧家である。私が小学生の頃、夏休みになると、よく泊りにいった。近くに小川と広大な畑があり、ザリガニ釣りやトウモロコシ取りをするのが日課であった。祖父が作る手作りのくるみ餅がたまらなく美味しく感じた。夜は蚊帳の中で寝たが、トイレが屋外の離れにあり、恐ろしく不気味なボットン便所(汲み取り式便所)だったため、朝までトイレを我慢したこともしばしばあった。こたつは練炭こたつで、足を浮かせながらそっと足を入れ、顔は絶対入れるなと言われた。近所におばさんがやっている駄菓子屋があり、そこで発売したばかりのカルビーポテトチップスを口に入れたときの衝撃は今も忘れられない。2011年東日本大震災が起き、ほぼ半壊した誰も住んでいないこの家を父は家族の反対を押し切り、あろうことか修繕した。父の49日は美里町で行い、はてさてこの家をどうしようかという話になった。駄目元で、家族で古民家を利用するサイトに出してみた。予想に反して反応があった。高齢者と同居している夫婦、田舎でカフェをやりたい秋田の人、石巻の材木医、音楽で町おこしをしたい医師、創作活動をしたい東京の陶芸家、アーチェリー協会の人、色々な人がこの地に興味を持っていただいた。自分がもうすこし年を取ったころ、この家がどう生まれ変わるのか、陰ながら見守っていきたい。

名 前:野田 雅史(のだ まさふみ)

出身地:岩手県一関市
趣味:バスケットボール
分野名:呼吸器外科学分野