城田 英和
Hidekazu SHIROTA
 

今年の夏の出来事


 



さかのぼること昨年の夏のことからである。

息子が昆虫図鑑をみてタガメがとりたい!!タガメ、タガメと毎日言うのである。私は福島県国見町の田舎の出身で子供のころ夏はよく虫取りをしていたものだ。しかしタガメだけは見たことがない。どうせいないだろう。探しても見つかるわけがないとあきらめかけたが今はネットの時代である。検索すればいくらでもどこで、どうやって採れるか詳しく情報が載っている。昨年夏、半信半疑でネットでみつけた情報から栃木のある小さな池へ行ってみた。ネットの情報は本当である。なんと5匹捕まえることができた。大きいのはスマホぐらいのサイズで触るのに躊躇するほどであり息子と興奮したことをおぼえている。4匹家に持って帰ったがどう飼えばいいのかが分からない。しかしこれも簡単にネット検索でクリアである。冬場も情報通り水から外にだして湿らせた落ち葉に入れておくと越冬できた。春になりまた毎日のようにタガメを観察していると今度は息子が繁殖させたいというのである。子供のころタガメの卵は図鑑でみたことがあった。無理だろうと思ったがネット検索すると載っている。オスとメスの見分け方、どのような飼育環境にすればいいか日の光のあてる時間まで書いてある。その通りにすればすぐに卵を産んでくれた。オスが10日間ほど卵を守ってオスが離れるとネットで書いてある通りに卵が孵化した。孵化のタイミングもネット通りなのでその瞬間を息子と一緒に観察することができた。これから大変である。100匹ほどの小さなタガメが貪欲に餌を食べるのである。最初はペットショップでメダカを買ってきたがキリがない。これもネットで簡単に解決である。ネットに書いてある通りの仙台の某所で田んぼの用水路に網を入れれば2,3回だけで100匹ぐらいドジョウとオタマジャクシがとれる。2か月後、最終的に50匹程が成虫になった。こんな大量のタガメ、どうすればいいのか、タガメの生息域ではないところに放していいのだろうか。これもネットで調べると宮城でもタガメの生息域があるようでそこに放してきた。このように今年の夏はタガメの飼育とエサ取りに翻弄されていた。感心すべきは何でもインターネットに情報がある時代である。情報を探しに行けば無理と思っていたことができる時代である。ちなみに息子は途中から飽きてしまいタガメの面倒どころか見ることもなくなってしまった。残念ながら息子の飽きっぽさに関してはネット検索を駆使しても無理であった。

(写真は卵を守るオスのタガメとタガメの孵化の瞬間)

名 前:城田 英和(しろた ひでかず)

出身地:福島県
分野名:臨床腫瘍学分野