山家 智之
Tomoyuki YAMBE
 

心臓を撃たれた!!! = その時どうする???


 



心臓の銃創の論文は、日本では医学中央雑誌でも25件しか検索されません。ほぼ全てが一例の症例報告です。英文の報告はあっさり千以上見つかりますが、銃で撃たれた患者がガンガン来るアメリカの病院と、平和な日本の病院とは、体制が全然違います。
正直、さぞかし困っただろうなあ・・・とは、思いますが、これまで、そんな心臓の銃創の経験をしたことのある医療関係者は、救急を専門にする医師の中にも、893屋さんが近隣に多い病院の中でも、流石に、ほとんどいなかったと思います。ということが、論文の数から見えたりもするわけです。
日本でも、こんなことが? 起こるんですね??

それでも医療者は対応しなくてはなりません
まず、
何を置いても、心臓マッサージやCPRを始めなくてはなりません。
俗に、10秒で意識消失、3分で脳死。とまで言われ
一刻も早い循環再開が、望まれます
今回も、心マッサージは行われていたのだとは思いますが、残念ながら大出血+心タンポナーデでは、あまり効果は得られなかったと思います。
なので、橈骨動脈か大腿動脈を確認しなくてはなりません。

今回は、大出血+心タンポナーデと言うことになり、かつ、心臓に銃創??と、言うことになります。
心臓マッサージをしても、押す効果が無く、押される血液がない・・・と言う病態です。
つまり、撃たれて倒れた後、すぐ駆けつけて
心臓マッサージを開始し、
もう一人の医者が、フェモラールかラディアルの、動脈を触知し、心臓マッサージで拍動が得られていないことを確認し、
急いで、心臓超音波の機械を持ってきて、(奈良の町中に置いてあるとは到底思えないけど・・・)タンポナーデであることを確認したら・・・
胸部表面を滅菌してドレープをかけて
心窩部から吸引の針でダイレクトに、心嚢穿刺を行い、
急いで
心タンポナーデを解除するだけの血液を抜き取り
これと並行して、もう1チームの医者が、全力で輸血を開始する
まだ銃創が心臓に残り、効果が得られない時は
一分以内に、第4肋間で緊急開胸し、清潔な手袋で右手を肋間挿入して用手的に「開胸心マッサージ」を行いながら、手掌で用手的に銃創を手で閉鎖しつつマッサージを継続して、循環を再開する・・・
・・・ところまでを
三分以内??
に、
行えば???
もしかして、脳死だけは避けられる可能性もゼロではなかったかも知れません

ここまで来てくれれば、
東北大で実験・研究・開発を進めてきたMERAのECMOシステムで、大腿動静脈から、循環を再開できます。
現在、新型コロナでも注目されているvvECMOのポンプシステムは、加齢研で非臨床を重ねてきた優れたもののシステムで、けっこう売れているようです

トランプ前大統領の後ろには戦場用救急車がついて回るという話がありましたが、銃創に詳しい軍医さんが一気に取りかかれば、完全に不可能な話でもなかったのかも知れませんね。
加齢医学研究所では、このような緊急事態にも、対応できる研究を進めているわけです

図 加齢医学研究所で非臨床試験が進んでいるECMOシステム

名 前:山家 智之(やんべ ともゆき)

出身地:仙台生まれで、仙台育ち、で、地元の大学に進んだ僕は、「門戸開放!」の、東北大のテーゼからは、ちょっと外れちゃうかな?
その分、地元愛。母校愛。があるつもりですが。
趣 味:日本は、世界で一番大きな「人工臓器学会」を持っており、世界で一番、人工臓器研究者の多い国家である。と、評されます。結局、日本人は、人工臓器の研究が好きなんですね。僕も、要するに結局、人工臓器研究が好きである。と、気がついてしまいました。
分野名:心臓病電子医学分野