高井 俊行
Toshiyuki TAKAI
 

QOLって何だ?

走れるようになって私のQOLは爆上がりしました。
 



小学生の頃から私は喘息で,少し長い距離を走ると症状が出てしんどい思いをしてきました。それが私の普通だったのでそうではない状態を知らなかったとも言えます。高校のとき,5 kmほどの校内マラソン大会で,サッカー部やバスケ部の同級生が颯爽と走っている中で自分は1 kmも行かぬ間に息苦しくなって情けないなと思っても,そんなもんだと諦めていました。QOLが相対的に高い経験は無かったのです。

40代後半,明け方の喘息症状に悩み,アレルギーの講義を担当していたこともあったので自分のアレルギー体質を改善しようと思い立ち,近所の専門医を受診しました。そこで,昔は無かった,上市されてまだ数年のロイコトリエン受容体ブロッカーを処方されて以来,私の生活は変わりました。数ヶ月で明け方の喘息だけでなく鼻炎も軽快し,何よりも喘息を起こすことなく,長距離を走れるようになったのです。

走れるようになると走ること自体が楽しくなり,趣味のひとつになって行きました。ちょうどその頃,第1回東京マラソンがあるというチラシをスポーツ店で見つけてエントリーしたところ運よく当選し,初マラソンこそ前年秋のつくばでしたが,2008年2月,雨中の東京マラソンを走りました。続いて第2回,第3回東京マラソンにも当選しましたが,第2回では事前の計画的な練習の効果があって思い通りのレースができ,自己ベストの3時間26分45秒を出すことができました。昔のバスケ部同級生たちはこんな気分で走っていたのかもと追体験しながら。

こうやって振り返ると,ひとつの新薬との出会いがQOLの大きな転換点になることもあるのだなとあらためて感じるのです。

[写真] 2012年9月泉ヶ岳29kmトレイルランでのフィニッシュ

名 前:高井 俊行(たかい としゆき)

出身地:岡山県
趣 味:水泳,ジョギング,バイオリン,YouTube
分野名:遺伝子導入研究分野