杉浦 元亮
Motoaki SUGIURA
 

8mmフィルムからMRIへ

「映画監督」というキラキラした肩書きに憧れていた時期があった
 



中高一貫校は部活をほどほどにしておけば時間は有り余る。同じように燻っていた同級生10名程と映画自主制作団体を立ち上げた。父親の8mmカメラを持ち出し、土日や時に早朝・夕方にメンバーの自宅や公民館、その他屋内外でロケを敢行し、学園祭で上映するための40分程度の映画作品を作っていた。役者やカメラはもちろん、ライトを持ったり、小道具を作成したり、映画作成には人手がかかる。それに中高生には高額(秒あたり10円)な8mmフィルムの費用もメンバーで割り勘しなければならない。そのためにもメンバーはたくさん必要だった。脚本を書き、演出しながらカメラを回し、現像屋さんから戻ってきた現像済みフィルムを皆で切り貼りして編集する作業は、青春のハイライトである。

結局、映画監督は諦めたが、結局似たような作業をしている。観客ではなく実験の被験者の心を動かすために、フィルムの代わりに実験課題・刺激の作成に心を砕いている。論文やグラント申請書は脚本みたいなものだし、新たに立ち上がった脳MRIセンターの共同利用者を集めるのも、8mmフィルムの費用負担者を集めるのに似ている。

小学生時代の恩師が「大人になっても本質は小学生と変わらない」と言っていた。まったくだ。

名 前:杉浦 元亮(すぎうら もとあき)

出身地:東京/神奈川
趣 味:検討中
分野名:人間脳科学研究分野