田中 耕三
Kozo TANAKA
 

対面の必要性

今思うこと
 


新型コロナウイルスの感染が拡大している現在、関係ない話題について書くことは難しい。しかしいざ書こうとすると、ちょっと前に考えていたことがすぐに実情にそぐわなくなってしまうので、きっと今考えていることもすぐ的外れになってしまうのだろう。このような事態は十分予測できたのだが、希望的観測に流されてその都度翻弄されてしまう。南極では風邪をひかないというように、人と人が接触しなければ問題は解決するのだが、コミュニケーションこそが人を人たらしめているものなので厄介だ。オンラインによるコミュニケーションツールの発達は、これを機にさらに加速されるだろう。これまで何気なく参加してきた会議や行事も、感染のリスクというフィルターを通すと、対面で行う必要性についてあらためて考えさせられる。海外の研究者と直に話をして関係を構築することは、今はともかく、移動の時間やコストを補って余りある。それに対して、一方的に大勢に情報を伝達する講義の場合、対面でなければならない理由を探すのは難しい。その意味で、娘の塾が3月にしばらく休講した後で再開した際、先生が「あらためて対面授業こそが欠かせないことを確信した」と言い切っておられたのは印象的だった。が、それも動画配信に切り替えられた。移動を自粛している現在、オンラインで東京にいる家族の顔が見られるのは大変ありがたいが、これだけはどんなに技術が発達しても実際に会うのには遠く及ばないだろう。

名 前:田中 耕三(たなか こうぞう)

出身地:鹿児島県
趣 味:犬の散歩
分野名:分子腫瘍学研究分野