白石 泰之
Yasuyuki Shiraishi
 

乗り物と、そして繋げること


 


思えば子供の頃、近くをのんびりと走る1両か2両で土手を走る列車はギヤ付きのディーゼルでした。電車ではないので架線もなく、遮断機の無い道をおそるおそる渡ったことが記憶に残っています。電車が走るようになっても、時折機関車に引かれた数えたくなるほど長い貨物列車が同じ線路を通ると、形も色も違う車両が繋がり行く光景にほのぼのとさせられます。

技術の進化はすばらしく、地下鉄南北線でも一番先頭に陣取ってみても運転する操作を見られることはほとんどないのですが、さまざまな乗り物が自動運転に変わってきています。日頃親しみのある南北線から東西線に乗ると天井の近さにも驚くのですが、石と鉄でできた古い窮屈なトンネルを走るロンドンの地下鉄も自動化予定だったりと時代の感覚に乗ることが普通に感じられます。

海を越えてどの街を訪れても、W杯サッカーの状況がリアルタイムでわかり、時差を互いに気にしながらビデオで会話をする。規格化が進むと、異なるものをつなげるのに“どうしたら?”という工夫や苦労は減ってきます。しかし、旅先でもたとえ同じものをスーパーで馴染みの方法で買うことができる時代となっても、さまざまな国を走り抜ける列車の連結器を見ると、年代や型式によらず接続できる古い形のものをよくみかけます。

文化を共有することとそれぞれをうまく関連づけてゆくことが必要なのだろうと、道ばたに落ちたマロニエの青い実を見ながらふとそんなことを思うのです。

名 前:白石 泰之(しらいし やすゆき)

出身地:埼玉県
趣味:音楽、自然散策など
分野名:非臨床試験推進分野