桜田 晃
Akira Sakurada
 

意外な色彩


 


先日、とあるイベントで草木染めの体験をすることが偶然あった。白い絹のハンカチを「びわ」で染めるのである。藍や紅花は有名であるが、特にそれまで興味が無かったこともあって、有名な植物以外に染色に使えるものが有ると言うことすら知らなかった。染色液は、暗い色の液体でボウルに入っていた。その横に、今回使ったものと同じという、葉っぱのついたびわの枝がかごに盛っておいてある。実はついていない。これを一晩水につけて煮出すと、この染色液が出来るのだそうだ。この液体に、真っ白なハンカチを入れると、程なくピンクともオレンジともつかない、きれいな明るい色が現れた。絞って少し乾燥し、今度は染色液を加熱して同様の作業を繰り返す。ハンカチは、もととなった葉っぱと枝からは想像できないきれいな色に染め上がった。何色というのは難しい。びわの実の色というのが一番近い気がした。これで終わりかと思ったら、仕上げの作業があるという。石灰を溶かした液体と、鉄くぎを酢に漬けたという液体を垂らした水が用意され、どちらかに浸けるのだ。石灰の方に浸けた人のハンカチは、色が明るく変化し光沢も加わった(写真左)。この変化にはびっくりした。私は、鉄くぎの方にしたところ、少し暗いが深みのある色に変化した(写真右)。どちらも、大変魅力のある色になった。今回の講師によると、草木染めでも鮮やかな色はいろいろあるということである。住んでいるマンションのエレベータホールからは、伊達家霊廟のある山が見える。たくさんの木が生えているが、特別な色のでる木もあるのだろうかと、今までとは違う目で眺めるようになった。

名 前:桜田 晃(さくらだ あきら)

出身地:青森県
趣味:ジョギング
分野名:呼吸器外科学分野