ローマの学会
 

戸恒 智子
機能画像医学研究分野(博士4年)
 

脳研究に携わる面白さ


2019年6月にイタリア、ローマで開催されたOrganization for Human Brain Mapping 2019でポスター発表を行ないました。OHBMは基礎修練で学部学生時代に初めて参加させていただいてから通算3回目の参加でした。昨年は開催地の変更などもあり規模が小さかったのですが、今回は25周年の記念回であり、ポスター発表は会期4日間で計3606演題と非常に規模が大きい学会となりました。

私の研究発表は着眼している遺伝子がどのように脳機能に影響を与えているか検討したとてもprimaryなものでしたが、遺伝子についてはやはりゲノムワイド関連解析が主流となってきており、そちらにも対応していかなければならないと考えさせられました。また、年々と脳画像の解析方法の複雑化や研究テーマ自体も細分化されている印象を受けました。

東北大学加齢医学研究所の研究テーマのひとつは脳の発達~加齢のメカニズムを解明することです。脳機能の研究は遺伝子、分子、細胞、神経回路、行動、心理などの次元の異なる様々な側面からの研究があり、それらを統合することがヒトの心を理解する上で重要であると考えられています。OHBMにも多側面からの研究が集まっていましたが、世界中の多くの研究者が長い時間をかけて研究しても脳にはまだわからないことがたくさんあり、そこに脳を研究する面白さが詰まっています。国際学会では日本人とは違った文化背景から生まれた発想や日本では社会体制的に困難な研究が実施されているのを目の当たりにすることができ、発見がたくさんあります。今後も脳研究に携わりたいと考えさせられる学会となりました。

学会の合間にはローマの町並みを眺める機会もありましたが、紀元前から続く建造物や文化財には驚かされるばかりでした。いままでに参加した国際学会は単独行動が多かったのですが、今回の学会は所属研究室から他にも数名が参加しており学会会場でも心強く、観光でも楽しむことができました。惜しむらくは映画ローマの休日を見ずに出かけてしまったことですが、みんなで食べたジェラートがとてもおいしかったのが良い思い出になりました。

学会参加の機会を与えてくださった研究室、加齢医学研究所の皆様に感謝申し上げます。

画像:学会会場入り口(左)/ 学会会場(右)

名前:戸恒 智子

所属:機能画像医学研究分野
(医学系研究科 医科学専攻 博士4年)