国際学会発表 

影山徹哉
人間脳科学研究分野(博士4年)
 

バンクーバーで思い起こした研究の原点


今回、国際ヒト脳機能マッピング学会(Organization for human brain mapping :OHBM)でポスター発表を行いました。この学会は脳科学分野における世界最大規模の学会で毎年3,000名程度の研究者が参加します。会期は2017年6月25日から29日の5日間でした。今年で32回目を向かえ、カナダ・バンクーバーの国際コンベンションセンターで行われました。学会は、主に講演とポスターセッションに分かれていました。講演では、各研究領域を代表する研究者が最新の研究動向について発表しました。特に興味を引いたのは脳機能イメージング技術のハイレゾ化でした。ここ20年間のイメージング技術の変遷と最近の高解像度化がテーマでした。90年代半ばに3TのfMRIがハーバード大学のマサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital: MGH)で開発・実用化されてから今日に至るまでの変遷と最新の7TのfMRIを使った研究は参考になりました。

また、fMRIの開発に携わった小川誠二博士(東北福祉大学・特任教授)の話を直接聞けたのは感慨深いものがありました。小川博士はfMRIの基礎原理となるBOLD法を発見したことで世界的に有名な研究者で、毎年ノーベル賞候補者として名前が挙がる方でいらっしゃいます。学会では「fMRIの父(The father of fMRI)」という紹介のされ方をしていたと思います。実のところ、私が脳科学の研究に興味を持ち始めた頃に読んだ本で、このMGHの3TのfMRIの話やその開発に日本人研究者が関わっていたことなどを知っていました。このため、講演でその当事者の2人の話しを直接聞けるのは運命的といいますか、感慨深いものがありました。

ポスターセッションでは高次認知機能(Higher cognitive function)の意思決定(Decision making)の枠で発表しました。発表日は、会期最終日の午後の2時間でした。日程的に参加者が減ることが予想されましたが、人が途切れることなく、数多くの研究者とディスカッションすることができました。また、他の研究者のポスターを見学することができ、研究のトレンドを把握することができました。

会期中は晴天に恵まれ、また初夏のバンクーバーの過ごしやすい気候の下、充実した日々を過ごすことができました。

今回は、東北大学加齢医学研究所助成金をいただき国際学会参加が実現しました。関係者の方に御礼を申し上げます。

画像:会場のバンクーバーコンベンションセンター(上)/ ”fMRIの父”小川誠二博士(下)

名前:影山徹哉

所属:人間脳科学研究分野
(医学系研究科 医科学専攻 博士4年)