◇令和5年1月26日(木)加齢研研究員会セミナーのご案内

日時: 令和5年1月26日(木)午後1時30分〜 午後3時
場所: Web開催
演題: 細胞における亜鉛恒常性維持とタンパク質恒常性維持
講師: 稲葉 謙次
所属: 東北大学 多元物質科学研究所
担当: 山形 仁(所属 臨床加齢医学研究分野・内線:8559)
要旨: 細胞には厳正なタンパク質品質管理システムが存在する。従来は、タンパク質の凝集を抑制し、正しい立体構造形成を促進する分子シャペロンや、異常タンパク質の分解に関わるユビキチン・プロテアソームおよびオートファジーに関する研究が多くなされてきた。一方我々は、細胞内のレドックス、pH、金属イオンなどの化学環境が司るタンパク質品質管理機構に焦点を当て、分子構造レベル及び細胞レベルの新たな研究を進めている。特に最近我々は、亜鉛イオンに依存した小胞体とゴルジ体を舞台とした新たなタンパク質品質管理機構を発見し、そのメカニズムの詳細を明らかにしつつある。その一環として、細胞内の各オルガネラの亜鉛濃度を定量的にイメージングする手法を開発し、さらにオルガネラ内の亜鉛濃度の調節に関わる亜鉛トランスポーターのクライオ電子顕微鏡による構造解析に成功した。本講演では、以上の成果を発表すると同時に、亜鉛恒常性維持の破綻がもたらす疾患についても触れる予定である。