◇令和4年11月1日(火)加齢研研究員会セミナーのご案内

日時: 令和4年11月1日(火)午後4時〜午後5時
場所: 実験研究棟7階セミナー室1
演題: がんの悪性形質に寄与する染色体異数体化の変動
講師: 趙 民知
所属: がん研究会 がん研究所 実験病理部
担当: 家村顕自(所属 分子腫瘍学研究分野・内線:8490)
要旨: 染色体分配の失敗は、正常二倍体より変化した染色体数を持つ細胞をつくりだす。この「染色体の異数体化」は、がん細胞で広く見られる特徴であり、がんの治療抵抗性や予後不良と相関することが知られている。一方で私たちは、胃がんの臨床検体において腫瘍細胞の核型を評価し、意外なことに、がん細胞の異数体化レベルは、腫瘍が浸潤・転移する過程で「変動する」ことを見出した。これらの観察から、「がん細胞の異数性は、高い低いレベルにとどまらず、変動することで、悪性形質獲得に寄与する」可能性が考えられた。この可能性を検討するため、核型が異なるがん幹細胞クローンを取得し、それをマウスに移植して形成された腫瘍を解析した。その結果、各腫瘍は、異数体化レベルの変化とともに、それぞれ特徴的な組織学的病変を示した。本セミナーでは、得られた最新のデータをご紹介し、さらに、がんの多様な悪性形質に寄与する異数体レベルの変動の背景として、染色体分配に中心的な役割を担うAurora Bキナーゼの機能を議論したい。