◇2022年5月11日(水)加齢研セミナーのご案内

日時: 2022年5月11日(水)午後5時〜
場所: 加齢研実験研究棟7階 セミナー室(1)
演題: 「コピー数欠損領域の細胞増殖機能検証 -KRAS遺伝子変異をもつ肺腺癌の場合」
講師: 永野 あい
所属: ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン がん研究所
担当: 小笠原 康悦 (所属 生体防御学分野・内線8579)
要旨: KRAS遺伝子変異をもつ肺腺癌では体細胞コピー数欠損がchr9p21およびchr3p21領域において観測される。近年がんゲノム解析では体細胞コピー数変化が調査されてきたが、その役割は未だ明らかでない。細胞増殖機能を検証するためにCOBALTseqシステムを開発した。このシステムではCRISPRを用いたゲノム編集で人工的に上記の体細胞コピー数欠損を作り出し、同時にバーコード配列を組み込むことでクローン追跡を行う。レンチウイルスを用いてコピー数欠損領域の両端をDNA二本鎖切断するSCNAターゲットベクターを作成した。この実験系でKRAS遺伝子変異肺腺癌細胞株NCI-H358とA549の細胞増殖機能を測定した。それぞれのSCNAターゲットベクターで平均200クローンを追跡した。NCI-H358細胞株でのchr9p21欠損クローン増殖、A549細胞株でのchr3p21欠損クローン増殖が観測された。結論としてこのCOBALTseqシステムを用いて、コピー数欠損が引き起こす細胞増殖を定量的に示した。ゲノム編集効率が2-3%と低いが、クローン追跡によりDNA切断に成功した少数クローンの数量化が可能となった。