教授 河岡 慎平
助教 依田 真由子




大規模データ解析によって複雑な生命現象を理解する

生体情報解析分野は、大規模データ解析を駆使して、がんによって個体が不調に陥るのはなぜか、日々のストレスと老化の関係はどのようなものか、デバイスの利用は生体にどのような影響をあたえるのか、といった問いに答えようとしています。近年の技術革新により、生命科学・医学分野で得ることのできる情報の量は飛躍的に増えました。いまやゲノム全体の配列を知ることは難しくありません。ある細胞における 2 万種類以上の遺伝子の発現量や数百の代謝物の量を網羅的に測定することもできます。個々人が持つ背景情報 (年齢や性別、既往歴など) の蓄積にも目をみはるものがあります。技術革新の一方で、新たな課題も生まれました。大規模なデータが得られても、得られた情報が何を意味するのかを解釈することが難しい場合があるのです。異なる階層のデータ同士 (たとえば遺伝子発現の情報と疾患の既往歴) を結びつけることが困難である場合も多々あります。解釈しやすいデータを得るためにはどうすれば良いか、得られた大規模データから有用な情報を抽出するにはどうすべきか、これらの基本的な問題を考えることの重要性が増しています。生体情報解析分野では、実験デザイン、大規模計測、そして情報解析までを一貫して行うことで大規模データを最大限に活用する枠組みを構築することを目指しています。


図:生体情報解析分野におけるがん悪液質研究の三つのポイント

主な研究テーマ

・がんによって個体に不調が生じるのはなぜか
・エンハンサーによる代謝・免疫・老化制御のメカニズム
・ヒトは日常生活でどのようなマルチオミクス変動を経験しているのか

参考文献

1. Hojo et al. Nat Commun. 2019 Jun 13;10(1):2603. doi: 10.1038/s41467-019-10525-1.
2. Mizuno et al. Nat Commun. 2022 Jun 15;13(1):3346. doi: 10.1038/s41467-022-30926-z.
3. Vandenbon et al. Commun Biol. 2023 Jan 24;6(1):97. doi: 10.1038/s42003-023-04479-w.
4. Maeshima et al. eBioMedicine 2024 Sep:107:105271. doi: 10.1016/j.ebiom.2024.105271.
5. Nakamura et al. Cancer Sci. 2024 Mar;115(3):715-722. doi: 10.1111/cas.16078.

研究キーワード

がん悪液質、マルチオミクス解析、エンハンサー、ヒト生物学、大規模データ解析