教授 佐藤 亜希子
助教 漆畑 拓弥
助教 辻 将吾


視床下部の加齢変化が駆動する老化寿命制御機構の統合的理解

歳をとると脳の働きが低下する「脳老化」が起こります。近年の研究から、脳老化は単なる加齢現象にとどまらず、寿命そのものを規定する可能性があることが示唆されています。そこで本研究分野では、脳老化を分子レベルから組織レベルで理解し、哺乳類の老化や寿命の制御における脳、特に視床下部の役割を明らかにすることを目指しています。さらに、疫学、臨床、数理モデルなど多様な分野の国内外の専門家と連携し、ヒトの健康寿命を延ばす新たな方法の開発にも積極的に取り組んでいます。これらの研究を通じて、高齢化が急速に進む社会において、人々がより長く健やかな生活を送れるようになることを目指しています。




図. 脳が全身の老化現象を調節する機構

加齢に伴い、脳、特に視床下部機能が低下すると睡眠の質が低下する。また、ストレス負荷も同様に睡眠の質の低下を誘導する。また、視床下部の機能低下は他の脳領域を含む脳の機能的ネットワークの異常を引き起こす。その結果、全身の老化現象が誘導され、最終的に哺乳類の寿命に影響が及ぼされる。食餌制限などの栄養学的介入は老化に伴う睡眠の質低下を抑制することが老化現象の遅延や寿命延伸作用につながるのかもしれない。つまり加齢に伴う睡眠変化は個体寿命を決定しうる脳老化の現象の一つであることが考えられる。

主な研究テーマ

・睡眠調節能を介した哺乳類の寿命を制御しうる新規視床下部神経の同定とそのメカニズムの解明
・脳老化の可逆性及び非可逆性分子機構の解明
・栄養学的介入による寿命延伸作用の責任神経と回路の解明
・加齢に伴う脳機能ネットワーク変化とその生理学的機能の解明

研究キーワード

視床下部、老化・寿命、睡眠、脳機能ネットワーク