DNA損傷修復能の新しい測定法を開発

PARP阻害薬などの抗がん剤の有効性を予測可能に

 DNAに生じた傷を治すDNA修復機構は細胞にとって非常に重要です。そのうち、相同組換え修復(HR)は二本鎖が切れてしまったDNAを修復する際に働きます。HR活性が低下するとがん化に繋がる一方、HR活性の低下したがん細胞はDNA損傷に弱く、抗がん剤が効きやすくなります。従来の方法ではHR活性を正確に定量できず、抗がん剤感受性の予測は困難でした。今回、東北大学加齢医学研究所 腫瘍生物学分野の千葉奈津子教授、吉野優樹助教、東北医科薬科大学の渡部剛講師らの研究グループは、HR活性の新たな測定法を開発し、本法が抗がん剤有効性をより正確に予測できることを明らかにしました。
本研究成果は2019年2月7日Scientific Reports誌に掲載されました。
本研究の一部は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われました。

【発表のポイント】
1.DNA修復経路の1つで抗がん剤感受性と大きく関連する相同組換え修復(HR)の活性の新たな測定法を開発しました。
2.本測定法は、ゲノム編集技術に用いられるCRISPR/Cas9システムを用いることで、ゲノム内の任意の座位でHR活性を測定することができます。
3.従来法では測定出来なかった、遺伝子が発現していないゲノム領域でのHR活性の測定も可能になりました。
4.本測定法によるHR活性の測定結果が抗がん剤感受性と相関することが判明し、正確な抗がん剤の有効性予測が可能になると期待されます。

詳細(プレスリリース本文)

問い合わせ先
東北大学加齢医学研究所 腫瘍生物学分野
教授 千葉 奈津子 (ちば なつこ)
電話 022-717-8477
E-mail: natsuko.chiba.c7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)