生殖細胞形成の初期段階で働く遺伝子制御機構
‐SETDB1タンパク質による生殖細胞形成の制御-

 東北大学加齢医学研究所医用細胞資源センターの松居靖久(まついやすひさ)教授と望月研太郎(もちづきけんたろう)助教(現・ブリティッシュコロンビア大学・研究員)らとともに、マウス生殖細胞が、胚発生の初期に前駆細胞から形成される際に必要なタンパク質としてSETDB1を同定しました。さらにSETDB1は、生殖細胞形成に働くBMPシグナル関連遺伝子の発現の維持に必要なことを明らかにしました。本研究成果は、世代継承を担う生殖細胞の形成を制御する分子ネットワークの解明につながる可能性があります。研究結果は、11月16日にDevelopment電子版に掲載されました。

【発表のポイント】
1.生殖細胞が胚発生過程で形成される初期段階で必要なタンパク質として、ヒストンメチル化酵素SETDB1を同定しました。
2.SETDB1はヒストンタンパク質のメチル化により、UTF1等の転写因子遺伝子の発現を阻害し、生殖細胞が前駆細胞から形成される際に必要な、BMPシグナル関連遺伝子の発現を維持する働きがあることを明らかにしました。

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図 SETDB1の作用機構
SETDB1は、ヒストンタンパク質のメチル化(Me)により、転写因子UTF1などの遺伝子発現を前駆細胞で抑制する。UTF1などはPGC形成に必要なBMPシグナル遺伝子の発現を抑制する働きがある。

詳細(プレスリリース本文)

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