本橋 ほづみ
Hozumi MOTOHASHI
 

「趣味」におもう

趣味に乏しいおばさんの負け惜しみ的つぶやき
 


現在、加齢医学研究所が掲げる「認知症予防」には、仕事ばかりせずに趣味をもつことが大事だそう。なのに、このところ、趣味は?と聞かれるといつも困ってしまう。以前は、ピアノ演奏、といっていたが、ここ10年くらいは、Macのキーボドを打つばかりで、ほとんど鍵盤にさわっていない。なので、ピアノが趣味、なんていうのはピアノに申し訳ない気がしている。

今の転写制御とストレス応答についての研究は、私が大学院生として基礎生命科学の世界に飛び込んだ1993年から、かれこれ24年間にわたり続けているもの。その時々のテーマに応じて興味の振幅はそこそこに大きかったけど、細胞の核の中で何がおこっているのかが知りたいという好奇心と、そして、自分の個性を研究という手段で表現したいという自己表現の欲求に衝き動かされてここまでやってきたと思う。今、これらを十分満足させるだけの状況かどうかはさておき、人生をかけて今の研究に挑んでいる、というプライドは持っている。研究は仕事ともいえるけど、自分のために時間を使うことが許される贅沢な場所。趣味が自分の楽しみのために行うこととすれば、これは趣味?

ひるがえって、家庭はというと、主婦にとっては掃除や洗濯などの家事を行い家族のために時間を使う仕事場。とはいえ、これまで私が研究を続けてくることを可能にしてくれた家族に感謝しながら恩返しをする時間であり、研究からの気分転換でもある。そうすると、家事も趣味?どうやら、私の研究と家事は一体化していて、「趣仕味事」とでもいってみようか。最近はやりのワークライフバランスといった視点からすると、こういう趣仕味事を持っているというのは、とても幸せなことみたい。

ここまできて、はたと気がついた。大学や研究所のためのお仕事は、正真正銘の「仕事」。趣仕味事を続けるための税金(!?)ということかしら。

次回は老年医学の荒井先生です。お楽しみに。

名 前:本橋 ほづみ(もとはし ほづみ)

出身地:生まれは鹿児島、育ちは仙台
趣 味:・・・
分野名:遺伝子発現制御分野