瀧 靖之
Yasuyuki TAKI
 

私の一番の失敗談は・・

時間の無い方は読まないで下さい
 


今回の教授リレーブログのお題は、「ああっ、やってしまった!」今だから語れる失敗談、です。私、このお題を見た後、何週間も考えましたが、正直全く思いつきません。研究でああっ、やってしまった!、という記憶を思い出せないのです。もちろん、研究以外では、いやと言うほどあります。ここ数年の一番の失敗談を述べます。北海道産のミヤマカラスアゲハの春型メスは、日本でも最も美しい蝶の1つと言われています。昨年5月、採集のために週末に強行日程で実家の旭川に帰省し、はるばる生息地まで行って、待つこと数時間。薮の中に入ってやっと見つけて網を一振りしようとしたところ、見事に近くの枝に網が絡まり、逃げられてしまいました。このときの脱力は「ああっ、やってしまった!」どころか、暫く脱力で動く気力すら出ませんでした。ところが、いざ研究となると、このような失敗談は全く思いつきません。これは自慢でも何でも無いです。むしろ大変残念なことだと思っています。失敗は成功の母と言われるとおり、何事もトライアンドエラーをしないと大きな事は成し遂げられないと思っています。その中で、これまでの研究人生を振り返ると、あまりに堅実というか、失敗の少ない方法で進んできたことは、大きな成果を得るためには決して良かったとは思えないと考えています。ひょっとすると、私個人の性格である、目先のことは悲観的だが大局的には非常に楽観的で、その様な失敗を失敗と思っていないのかも知れません。あるいは、日々のストレスでHPA axisが活性化してしまい、海馬が萎縮してエピソード記憶力の低下により、その様なエピソードを忘れてしまったのかも知れません。ただ1つ言えることは、その様な貴重な経験をしなかったことが、一番の失敗談と思っています。

次回は、分子腫瘍学の田中先生です。

名 前:瀧 靖之(たき やすゆき)

出身地:北海道
趣 味:スキー、ピアノ、チョウの研究
分野名:機能画像医学研究分野