山家 智之
Tomoyuki YAMBEe
 

あなたの身体は物理法則・数理科学に従って動いています

心臓は拍動して物理的な力学効果を発生し、血液は流体科学に従って流れます
 


xn+1 = axn(1 – xn)

走り出す時は、ドキドキする人工心臓じゃなきゃダメです。

人体情報をフィードバックして制御しなくてはなりません。

さて、このロジスティック写像の方程式は、シンプルな原理でありながらカオス的なダイナミクスを発生します。

人工心臓の自律神経が学位論文のテーマだったので、人工臓器も人体の制御システムに参画するべきだという夢をずっと持っていました。

非線形な形でも、人体には自律神経の電気情報が流れていて、内臓は自律神経に従って動きます。

つまりこの数式と同じように、フィードバックのタイムラグでカオスが発生する可能性が高いのです。

初めは、交感神経活動に合わせて人工心臓を制御するつもりで研究をはじめ、皆さん同じことを考えていたので、ずいぶん注目されて人工臓器の学会賞などをいただきましたが、安定的に永遠に計測する電極は不可能です。

そこで、末梢血管抵抗を代用としてフィードバックして人工心臓をカオス制御する方法を発明し、全置換型人工心臓で、カオス的ダイナミクスが発生する原因を追究し、キャッチーなテーマだったので人工臓器の会長賞などもいただきました。

第1回の受賞だったので、天下の東大や国循と決勝になり、当時の審査委員長の渥美先生に「殴り合いになりそうな審査会だった」と評されました。

当時は、「精密な制御が必要である」という日本人らしいテーゼと、「シンプルイズベスト」のアメリカらしいテーゼが、学会でぶつかり合っていたので、僕のカオス制御が、ちょうど、そのど真ん中に、はまりこんでしまったのでした。

ちゃんとドキドキする人工心臓を作りたいという夢は、まだ続いていて、今年も自律神経のテーマで学位をとった学生さんもいるし、心房キックに同期する無拍動人工心臓制御が、うちでの医学博士論文のテーマにもなっています。

次回は脳機能開発の杉浦先生です。

名 前:山家 智之(やんべ ともゆき)

出身地:仙台から離れたのは、ほとんど予備校時代の一年間だけです。
趣 味:医学部水泳部では、「お前一高水泳部だったんだからできるだろう!」と、言われ、バタフライ、フリー、背泳、個人メドレー、と、平泳ぎ以外の、ほとんどの種目に出場させられ、扱き使われ(シゴキ使われ)ました。
分野名:心臓病電子医学分野