小椋 利彦
Toshihiko OGURA
 

私のお気に入り

とりあえず、なんでも引っ張る。
 


右の写真(Pfister BJ et al. Journal of Neuroscience Methods, 153, 95, 2006から転載)を見てみましょう。Aのパネル、下の方に神経細胞の塊が見えます。この塊から神経軸索が上の方に延びて行きますが、この装置は軸索の先端を捉えて引っ張り、ゆっくりと軸索を力で引延ばす装置です。Bを経て、Cに至る頃には軸索は数cm程度まで延びています。

軸索を力で引っ張って延ばす?Neuroscience を領域としている研究者でも、軸索を引っ張ってどれだけ延ばせるかを真剣に考えている人は少ないと思います。しかし、考えて見ると、生まれたての赤ちゃんと大人の足の先を支配する神経の長さを考えれば、成長につれて神経軸索は延びてきたことがわかります。また、神経を再生させて成体に移植するためには、一定の長さの神経が必要になるので、オーダーメイドで任意の長さに引延ばす必要があります。また、軸索に一定の張力がかかってないと、シナプスの成熟が遅れることが知られています(PNAS 106、12611、2009)。さて、細胞は、どうやって張力を感知するのでしょう?

力に関する、私のお気に入り研究でした。

次回は、腫瘍循環の佐藤先生です。

名 前:小椋 利彦(おぐら としひこ)

出身地:福島県郡山市(実家は無事に除染終了しました)
趣 味:写真(銀塩に戻りつつある、しかも中判)、読書、愛犬の散歩、クラシック音楽(ピアノ)、水草(サトイモ科)
分野名:神経機能情報研究分野