岡田 克典
Yoshinori Okada
 

基礎研究の成果をいつか臨床応用に繋げたい

一点集中的な研究から、もっと裾野の広い研究へ
 


私の専門とする呼吸器外科学で扱う疾患の80%ぐらいは肺癌に代表される腫瘍性疾患で、もちろん私も診療では呼吸器外全般に携わってきましたが、基礎研究として行ってきたのは専ら肺移植に関わるものです。米国留学時代を含めて主にラット肺移植モデルを用いて虚血・再灌流傷害や拒絶反応に関わる仕事を行ってきました。ラット肺移植は、ツマヨウジほどの太さの血管と気管支を顕微鏡下に吻合する高度な技術を要するもので、外科手技のトレーニングという意味ではいくばくかの貢献があったかもしれませんが、私自身がこれまで基礎研究の成果をどれだけ臨床に還元できたかを考えると、じくじたる思いがあります。

私の研究スタイルを振り返ってみますと、早期の臨床応用を念頭に研究をデザインする一点集中的なものが多かったように思いますが、それで次々と画期的な成果が出るほど世の中が単純にできている訳はありせん。遅ればせながら今日になってやっと、もっと広い視野を持って裾野の広い研究を展開すること、そして優れた基礎研究者の力をお借りする事の重要性を認識するに至りました。若い医局員には、生命の本質に迫る基礎的なものから臨床応用に直結するものまで広いスペクトラムの中から「自分のお気に入りの研究」を探して欲しいと思っています。

次回は神経機能の小椋先生です。

名 前:岡田 克典(おかだ よしのり)

出身地:仙台市
趣 味:読書、ドライブ、プロ野球観戦(もちろんイーグルスファン)
分野名:呼吸器外科学分野