山家 智之
Tomoyuki YAMBE
 

研修医の朝は採血で始まります。

研修医の朝は採血で始まります。病棟、外来、超音波、カテ室と廻っていくと、
実は、午前中に、殆どの仕事が集中していることに気が付きました。

 


研修医の朝は、採血で始まります。 

朝六時集合! ベテラン看護婦さんの後ろに付いて歩き、肥ったお婆ちゃんの患者さんに「先生! 私の腕から、血~取れたら一人前!」と、からかわれ・・・ホントに、肉に埋もれて血管が見えなかったり・・・?!

ナースステーションに戻ると、検査結果を確認してカルテに伝票を張り、その日の指示出し確認、検査の予定を書いてバタバタしていると、オーベンの(指導医)の先生が出勤して来てダメ出しをされ、その日の回診が始まります。そのまま、外来か、超音波か、カテ室か・・・午前中の予定が終わると、(だいたい午後まで伸びる)そのまま午後の予定で、夕方、やっと大学に戻ると、誰か実験してるか、論文書いてます・・・ひええ。と、疲れていると、ある日。週に何日か、実は、午後は、バカッと空いている日があることに気が付きます。

どの検査も患者さんは絶食になるので、実は手術も検査も午前中が多いのです。

まあ、勉強してればいいんですが、昔は「時間があったら患者を診ろ!」と言われていました。ところが、ご高齢の患者さんとはなかなか話があわず、ある日 入院してきた若い21歳くらいの男の子と、車の改造や暴走?の、話ばかりをしているようになりました。

ところが、いつもの馬鹿話をしていたところ、突然「あれ?・・・」と、言った途端、パタッと倒れ、モニター見ると、完全房室ブロック!オーベンの先生がすっとんできて、ベッドサイトで鎖骨下からペースメーカをブラインドで挿入、反応を得て意識が戻りました。「何だったんでしょう・・・」と、さすがに不安そう・・・ところが、今度は、ペースメーカに反応が無くなり、モニターで、電気的なスパイクばかりが見えています。

もう心マッサージにも挿管にも反応しません。

せっかく仲良くなった若い患者さん、医者になって初めて看取ることになり、何もできず、隣の部屋で一人メソメソ泣いていたのでした。

悪性胸腺腫の心臓浸潤で、かなり珍しいケースでした。

若い患者さん、心臓だけ元気になれば、まだまだ元気で車を走らせられた筈です。

たった一つの臓器の障害で、命がなくなるのは、もったいないではありませんか。

人工心臓があれば、明らかに救えた生命があるんです。

次回からリレーブログ三周目に入ります。お楽しみに。

名 前:山家 智之(やんべ ともゆき)

出身地:仙台
趣 味:雑読、乱読、積ん読、精読、斜め読み
分野名:心臓病電子医学分野