福本 学
Manabu FUKUMOTO
 

全身という統合したかたちの制御について深めたかった

病理学は顕微鏡が命、なのに遠視がきつくて顕微鏡は苦手。嫌なことは無理しなければ身に着かないから、好きな事よりも真剣に取り組むだろうと思った。
 


医学部卒業当時、病理学教室は廊下も居室も人で溢れて、病理(教授)診断が最終診断、病理は基礎医学本道、永遠に不滅だ、という雰囲気でした。入局して教室には金はあってもアイデアがない、こんなはずではなかった、から研究生活は始まりました。見習う先輩がいない。自分で自分を作るしかない中でここまで来て研究生活40年、大したこともできなかったと悟るばかりです。ちょっとだけ自慢させてください。

私の研究室には世界に誇るオンリーワンが3つもあります。ヒト放射線内部被ばくがんの解明に必要なトロトラスト症例の標本バンク、有効な放射線治療を目指した臨床的放射線耐性ヒトがん細胞株、そして微量放射線の環境・人体影響を知る手がかりとなる福島原発事故被災動物アーカイブです。全て、病理学を専攻して全身を診て、病因をひとつに絞り込む努力を学んだ賜物です。もうすぐ定年のため、あらゆる努力にも拘わらず、3つのオンリーワンは全て存亡の危機にあります。独自な故に跡継ぎなしです。今後は少しでも医療人として周囲の役に立つ、そして安寧の得られる生活を送りたいと思っています。

次回は基礎加齢の堀内先生です。

名 前:福本 学(ふくもと まなぶ)

出身地:東京都
趣 味:孫とのダジャレ尻取り合戦
分野名:病態臓器構築研究分野