髙井 俊行
Toshiyuki TAKAI
 

ロケット科学者になりたかったあの日の彼は

鉄腕アトムが少年少女の心をとらえていました
 


小学校のガリ版刷り卒業文集の「将来なりたいもの」コーナーに『僕は科学者になりたい』と書いています。ロケット発射の稚拙な漫画を付けて‥彼は単純に,ロケットを打ち上げる科学者をかっこいいと憧れました。その頃は鉄腕アトムが大人気。日本でもようやく衛星を軌道に乗せることができた時代です。アメリカはもう月に行ってましたが‥‥さて,人は変わるものです。文集のことをすっかり忘れた彼は医療の仕事がしたいと思って入った大学の薬学部で2年間,部活動ばかりでろくに勉強していません。3年生になってそろそろ真面目にやらねばなあと思ったのか,春からの専門課程の教科書として指定されたStryerの『Biochemistry』とRoitt の『Essential Immunology』を手にした彼はようやく大学生らしくなったなという感慨とともに,この2冊をかなり熱心に読むことになります。おやっ,Roittは『免疫は自己と非自己を見分ける』と言うではありませんか。どれほど仲の良い二人でもお互いの臓器移植は一卵性双生児でない限りうまくいかない,と。これは衝撃でした。なぜそうなるのかは明快には書いていません。リンパ球が見分けているらしいことは分かりましたが・・・自己と非自己-この哲学的命題を解くことに憧れて彼はその後,生化学の手法で免疫の世界を探る道に進むのですが途中,大学院の博士課程で荒行を経験することになります。この顛末は独自HPの拙ブログ『先生のこと』へどうぞ。

次回は、機能画像医学の瀧先生です。

名 前:髙井 俊行(たかい としゆき)

出身地:岡山県
趣 味:園芸,器楽,ジョギング,自転車,水泳
分野名:遺伝子導入研究分野