石岡 千加史
Chikashi Ishioka
 

私が腫瘍内科医を目指した理由

がん分子標的治療薬の登場で高まる腫瘍内科医のニーズ
 


欧米では腫瘍内科医はドクターの花形です。しかし、日本ではまだまだ不足しています。最近、抗がん剤の進歩がめざましいので、腫瘍内科医を目指す医学生や研修医がどんどん増えてほしいですね。1960年代から米国ではがん治療を専門にする内科(medical oncologyすなわち腫瘍内科学)の重要性が認識され、米国内科学会のサブスペシャリティーになっています。また、1964年に7名の腫瘍内科医が設立した米国臨床腫瘍学会(ASCO)は120カ国以上から35,000人以上の会員を集めるマンモス学会に成長しています。日本では13年前に日本臨床腫瘍学会(JSMO)が設立され、日本内科学会の新研修カリキュラムに「腫瘍」領域が入るなど、ようやく腫瘍内科が認知されるようになりました。

手先が器用だったので学生時代は外科医になるつもりでした。腫瘍内科医を目指したきっかけは、6年生になってから。病院実習で多くの進行がんの入院患者に接し、座学で得た知識と乖離した臨床の現場に衝撃を受けました。30年前、抗がん薬は固形がんにはあまり効かなかったですね。未開拓な領域だと感じて進行がんの内科的治療の道に進むことにしました。最初の15年、研究は面白かったですが臨床は効果が不十分な抗がん剤治療に敗北感さえ感じたこともありました。しかし、最近の15年間で状況は一変、分子標的治療薬の登場でがん薬物療法は急速に進歩し、腫瘍内科医のニーズは高まるばかり。今、大学院時代や留学中の研究経験が大いに役立っています。

次回は、生体防御学の小笠原先生です。

名 前:石岡 千加史(いしおか ちかし)

出身地:仙台市
趣 味:温泉、美術館、スキー、サイクリング、ジャズ
分野名:臨床腫瘍学分野
その他:医学部漕艇部(ボート部)部長