荒井 啓行
Hiroyuki Arai
 

超高齢社会がやってくる~老化を研究してみよう

アルツハイマー病など加齢を背景にした神経難病克服のシナリオは描けるか
 


私が東北大学を卒業したのは1980年である。21世紀、本邦は超高齢社会を迎えることは誰の目にも明らかであり、その年の11月、日本学術会議は、国立老化・老年病センター(現在の国立長寿医療研究センター)の設立を勧告している。1984年、米国のGlennerらはアルツハイマー病(AD)脳髄膜血管からアミロイドβ蛋白を分離しその一次構造を決定した。その後、日本の森啓らはADの神経原線維変化がユビキチン化されていることを報告。これらの研究成果は学生時代に生化学分野にアフィニティ―の強かった私を元気づけた。紆余曲折はあったが、1988年全くAD研究の経験のない私は米国ペンシルべニア大学神経病理学部門に留学を決めた。32歳の時であった。私より若い多くの学生やポスドクが目を輝かせて働いていた。ボスであったTrojanowski教授は“We are working 24 hours”と言って憚らなかった。「日本とはナントという違いだ」AD研究に米国NIH関連の大きなグラントが投入されていることを知ったのである。帰国後の1995年、AD患者の脳脊髄液タウを測定し、バイオマーカー研究の魁となった。

次回は臨床腫瘍学の石岡先生です。

名 前:荒井 啓行(あらい ひろゆき)

出身地:群馬県
趣 味:旧所・史跡を廻りこの国の原風景を探ること
分野名:老年医学分野
クラブ顧問:バドミントン部(2003年~2008年)
星陵アンサンブル(2013年~)