荒井 啓行
Hiroyuki ARAI
 

定年退職の年を迎えて


 



私は昭和55年本学医学部を卒業し、来年令和3年定年退職を迎えます。平成20年医学系研究科先進漢方治療医学講座から現在の加齢医学研究所老年医学分野へと移動となり、以来第59回日本東洋医学会学術総会会頭(平成20年)、第28回日本認知症学会学術集会会長(平成21年)、第6回日本認知症予防学会学術集会会長(平成28年)、第61回日本老年医学会学術集会会長(令和元年、下の写真)などを務め、また国際会議として第1回World-Wide Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiativeを仙台に招致しました。主たる研究成果としては、認知症のバイオマーカー(生物学的病態指標)の確立に尽力し、脳脊髄液総タウ・リン酸化タウ検査を最初の世界標準検査として、本邦での保険収載への道を拓きました。また、近未来の画像バイオマーカーとして、アミロイドPET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影法)やタウPET開発に着手し、アルツハイマー病脳に形成される病理変化の生体画像化に成功しました。一方、認知症診療の実臨床の場で問題となる幻覚や妄想など認知症に伴う行動・心理症状に対して、漢方方剤「抑肝散」の安全性と有効性を示しました。令和3年4月からは、「認知症治療医薬開発寄附研究部門」を設置し、アルツハイマー病に対する新規疾患修飾療法の開発に着手する思いを新たにしています。加齢研の皆さんのこれまでのご協力に心から感謝するとともに、もうしばらく加齢研に在籍しますので、どうぞよろしくお願いします。

写真:令和元年の老年学会総会会長の佐々木英忠名誉教授と7分科会会長(勝山館にて)前列中央が老年学会総会会長佐々木英忠先生、前列右が第61回日本老年医学会会長の荒井啓行

名 前:荒井 啓行 (あらい ひろゆき)

出身地:群馬県
趣 味:旧所・史跡を廻りこの国の原風景を探ること
分野名:老年医学分野