白石 泰之
Yasuyuki Shiraishi
 

うまいのか?

〜蛙の時間



ひとしきり日差しが照りつけると、なぜかいつもポストの上に蛙がちょこんと座っています。ここのところ毎日のように見かけるので、きっと同じものが決まってやってきているのだろうと思います。
いったいいつ動くのだろうとしばし眺めていた折に、通りがかりの蜘蛛が一匹、あっという間に食べられました。およそ0.1秒。ヒトの嚥下挙動で喉頭蓋が閉じる時間の5分の1ほどです。食べ物を口に含み咀嚼すると嚥下までの応答時間が少し長くなりますが、そのかわりに味わう余裕が出てきます。喉ごしも大切ですが、うまい!と感じるには飲み込むまでの時間と感覚が重要なようです。生命の維持には栄養の摂取は欠かせないものですが、食べるということは単に外部刺激に反応する機械的なものではなく、やはり自律的なものなのだろうと思います。

ある日、帰宅すると朝見かけたのとおおよそそのままのあたりにやはり静かにおりました。
日々の繰り返しの中でも、悠々とした鼓腹撃攘の過ごし方はおそらく変わっていないのでしょう。緑の苔むした石を掃いて時の流れを感じる季節までもう少し暑い日が続きそうです。

名 前:白石 泰之(しらいし やすゆき)

出身地:埼玉県
趣味:音楽、自然散策など
分野名:非臨床試験推進分野