シドニーで気づいた成長 

齊藤 俊樹
応用脳科学研究分野(博士1年)
 

オーストラリア シドニー大学に訪問して気づいたこと ―英語に対する意識と大学について―


私は、オーストラリアのシドニーに2月12日から15日までの3日間滞在しました。2月のシドニーは真夏で、最高気温が40℃近くになることもあるようでしたが、湿気が少ないこと、港町の開放的な雰囲気があいまってとても快適でした。この快適さは、節約のためと暖房を付けずにやせ我慢をしていた私にこの上ない幸せを与えてくれました。

シドニーでは、シドニー大学のDamian Birney博士の研究室と私が所属する研究室の共同研究に向けたワークショップに参加し、眼球運動を用いた認知的介入の研究案について口頭発表しました。認知的介入の専門家から意見をもらえたこと、シドニー大の博士課程の学生と交流できたことなど、とても実りの多いワークショップとなりました。

今回の滞在で印象的だったのは、自分の英語に対する意識の変化に気づいたことでした。これまで旅行などで英語を使う必要があるとき、文法や発音の間違いを気にして、慎重に、というよりもびくびくしながら英語を使ってきました。しかし、今回の滞在中、正しいか気にする前に英語を話そうとしている自分に気づき、驚きました。加齢研に来てから一年になりますが、毎週の英語のミーティングや授業、そして留学生との交流がこの変化をもたらしてくれたと感じています。未だに英語は不自由ですが、今回の発表で少なくとも研究の内容を伝えられること、コミュニケーションができることが分かり、大きな自信を得ることができました。

もう一つ印象的だったことは、シドニー大学の構内にあるグラフィティトンネルでした。グラフィティは壁にスプレーなどで描かれる落書きのことで、公共物に無断で描かれるものは違法とされる一方、アートとしての価値が高いものも多く存在します。このトンネルにグラフィティが描かれるようになったのはベトナム戦争時代に学生が不安を表現したことから始まるようで、現在では合法的にグラフィティを描くことのできる場所になっています。トンネルいっぱいにカラフルで、のびのび描かれているグラフィティはとても楽しく、そして、このような場が存在することから大学の意義を感じ、とても感動しました。

最後に今回の滞在は加齢医学研究所研究助成金からの支援を頂いて実現することができました。このような貴重な機会を与えてくださりました川島隆太所長、指導教員の野内類先生、そしてサポートしてくださった方々に心より感謝申し上げます。

画像:ワークショップで発表中(上)/ シドニー大学の構内にあるグラフィティトンネル)(下)

名前:齊藤 俊樹

所属:応用脳科学研究分野
(医学系研究科 医科学専攻 博士1年)