音楽の都から持ち帰ったもの 

鈴木 拓志
心臓病電子医学分野
 

少しの自信と、iTunesに数曲のクラシック音楽。


2016年2月15、16日にオーストリア・インスブルックで開催されました、12th IASTED(International Association of Science and Technology for Development) international conference on Biomedical Engineering(BioMed)に参加してきました。IASTEDの中でBioMedは比較的歴史の浅い学会ですが、学会全体を通してBiomedical分野の若手研究者の育成に熱心な様子が見られました。

2日間の日程の随所にCoffee break timeが組み込まれ、若手研究者と著名な研究者との熱心な議論を促していました。特に、Tutorial sessionでT. Webster教授が講演した際の、アジア圏出身の若手研究者の積極的な質問・議論の姿勢がとても印象に残っています。後に分かったのですが、彼らはインド出身で現在はドイツの大学院に所属する学生でした。

私は、「小型腎神経冷却デバイスを用いた高血圧症治療の可能性」に関して口頭発表をしました。近年、欧米各国で動物実験を極力減らしていく動きが強い中で、大型動物を用いた評価試験は賛否両論ありながらも注目度は高く、うれしい反面発言の責任の重さに慎重にならざるを得ない場面も多々ありました。英語での口頭発表は3回目、研究内容に関する発表は2回目ということもあり、発表の途中からはリラックスして無事発表を終えることができました。今回最も成長を実感することができたのは、発表者によってあからさまに聞く態度を変える聴衆と質問制限時間いっぱいまで質疑応答を行ことができたことです。彼らの興味を引き、理解をしようと努力させる程度までは伝える力がついてきたことに充足感を覚えた2日間でした。

さてオーストリアといえば、15世紀から16世紀にかけて多くの有名な音楽家を輩出した「音楽の都」。学会会場で偶然にも再会したシドニーの大学の教授と歩いた街並みやレストランなど、街のいたるところで人々が日常生活のちょっとした楽しみとして音楽を心から楽しんでいる様子を垣間見ることができました。日常に音楽のある人生を楽しむ人々とそんな人々が創り出す上質な空間の中で、分かりやすく影響を受けやすい私がベートーベンやモーツァルトの曲を聴き始めるまでにさして時間はかかりませんでした。

今回持ち帰ったのは、ほんの少しの自信とiTunesに数曲のクラシック音楽。貴重な機会を実現するに至ったのは、東北大学加齢医学研究所研究助成金あってのことです。川島隆太所長、そして山家智之先生をはじめとする先生方にこの場をお借りして深くお礼申し上げます。

画像:学会での発表の様子(上)/ 早朝から学会会場に向かう(下)

名前:鈴木 拓志

所属:心臓病電子医学分野
(医工学研究科 人工臓器医工学講座 修士課程2年)