国際学会に参加して 

本蔵 陽平
遺伝子発現制御分野
 

世界の研究の潮流を実感し、今後の研究の方向性を考える。


2015年9月12日~15日にローマで開催された第52回Inner Ear Biologyに参加してきました。この学会は毎年ヨーロッパ各国で開催され、内耳研究に関する最先端が世界中から集まる学会です。今回はFrom Lab to Clinicと題された興味深いシンポジウムが17題、Target Lectureが9題、口頭発表が78題、ポスターが143題の発表がありました。

今回、”NRF2 Attenuates Noise-Induced Hearing Loss by Preventing Oxidative Damage of Cochlea”という題で、転写因子NRF2の活性化により酸化ストレスが軽減し内耳保護が可能となるという内容を発表してきました。ポスター発表の他にメイン会場での口頭のプレゼンテーションの時間も与えられ、不慣れな英語ではありましたが、とても貴重な経験となりました。

加齢性難聴や騒音性難聴は酸化ストレスに伴う内耳障害であると理解されており、酸化ストレスは内耳研究における主要なテーマの一つです。今回の学会では、これからの注目点としてNRF2が挙げられており、とても良い時機に発表をすることが出来たと思います。また、内耳研究の分野はそれほど大きくなく、世界の有名な先生方の最新の研究をほぼ全て直に聴くことが出来たことも良い経験でした。

学会場の外のローマの町並みは、いたるところに古代の建造物が立ち並び不思議な感覚でした。バチカン美術館の螺旋階段は、確かに内耳蝸牛のようでありとても綺麗でした。

学会に参加して、世界の内耳研究の中で自分の研究がどの辺りに位置するのか、また世界が今注目している点が何なのかを実感することが出来ました。この経験は今後の研究の方向性を考える上でとても有意義なものでした。

最後に今回の学会参加は、東北大学加齢医学研究所研究助成を頂き実現しました。ご協力いただきました皆様に心より感謝申し上げます。

画像:学会発表の様子(上)/ 内耳蝸牛のような綺麗な螺旋階段(下)

名前:本蔵 陽平

所属:遺伝子発現制御分野
(医学系研究科 医科学専攻 博士課程3年)