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脳の神経組織の活動を、脳局所血流の変化とヘモグロビンの磁性変化によって生じる信号(blood oxygenation level dependent, BOLD)を高磁場により発生する磁気共鳴信号で検出することにより、非常に高い空間分解能(ミリメートル単位)で脳活動を測定できます。脳波との同時計測も行うことができ、脳ダイナミクス研究にも用いています。また、脳の形態情報から、voxel-based morphometry (VBM)の手法を用いて、灰白質や白質の容積とそれらに影響を与える様々な因子との相関の解析や、Diffusion tensor imagingの技術を用いて、繊維束連絡の解析を行うこともできます。3T(3テスラ) という超高磁場により、条件の限定された被験者について少ない人数で結果を得ることができること、実験時間の短縮による被験者への負担の軽減などが挙げられます。本設備を使用する実験においては、音声刺激、視覚刺激を従来同様使用することが可能であり、音声による反応、眼球運動測定を同時に行うなど、様々な反応を得ることもでき、fMRI 実験を行う上では最先端の設備が整えられています。
3T-MRI装置
脳波との同時計測の様子
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脳ダイナミクス研究棟に設置されているBruker社製PharmScan 7Tは、小動物研究用に設計された磁気共鳴画像化装置(MRI)です。従来のヒトを対象としたMRI実験では不可能な、高負荷の非臨床薬理研究や、ノックアウト動物を用いた各種病態モデル研究に用いられています。高磁場のマグネット(7テスラ:7T)と高感度の小型コイルを実現しており、実験用の小動物(ラットやマウス)から解像度の高いMRI画像を得ることができます。開口径は16 cm、最大傾斜磁場強度は300 mT/mです。撮像コイルは、直径23mm(マウス脳専用)と38mm(ラット脳専用)および60mm(体専用)のボリュームコイル、ラット用の表面コイルを実装しています。ヒトのMRI研究においてスタンダードな各種の計測技術(T1/T2強調画像、脳血流定量画像ASL、拡散テンソル画像DTI、血管撮像angiography、スペクトロスコピーMRS)が利用可能であり、またMRI本体の他,人工呼吸装置、電気刺激装置、温水循環装置、シリンジポンプ、二酸化炭素センサー、パルスオキシメーター等の周辺機器が整備されています。2009年3月のシステム導入以来、東北大学内外における多くの研究機関と共同研究を展開しています。
7T-MRI:
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ヘモグロビンの酸素化状態による赤外光吸収の違いを利用して、酸素化ヘモグロビン変化と脱酸素化ヘモグロビン変化を測定する ことができます。fMRIとは異なり、検査ベッドに頭部を固定する 必要がないため、体の動きを伴うなど自然な環境で行動している 時の脳活動を計測することができます。2008年には携帯型NIRSも導入し、屋外での計測も可能になりました。
NIRS測定の様子
携帯型NIRS(試作機)
(日立製作所 基礎研究所製作)手書き作文中のNIRS画像
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日立製作所との共同研究で開発した超小型NIRSです。(1)ヘッドセットは軽量で、バッテリーで駆動し、計測用PCとは無線で通信するため、ほとんど拘束なしに自然な環境で行動している時の前頭葉部分の血液量の変化が計測できます。(2)20人までの脳血液変化量データを同時に計測・記録するとともにリアルタイムで計測データを表示することが可能です。(3)リアルタイムでノイズを低減する機能を備えています。これにより、学校やオフィスなどの日常環境で複数の人が共に活動する中で、脳がどのように活動し相互作用するかを調べることが出来ます。
超小型NIRS測定の様子
超小型NIRS
20人同時計測画面
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動きまわりながらの計測が可能な眼鏡型,画面を見ながらの作業時の計測に適した卓上型,脳機能計測と同時に使用可能なMRI対応型の3種類のアイトラッカーを備えています.視点の移動や固定時間,まばたき,瞳孔径などのデータから,視知覚・情動・認知に関する情報を得ることが出来ます。
卓上型
眼鏡型
MRI対応型