コロナに揺るがされた価値観
パンデミックは「自分」や「世界」の見方を変えた

【発表のポイント】
● 自分の価値や世界の公平性について一人一人が持っている根本的な価値観を
「中核的信念」といいます
● 新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本人の中核的信念が揺るがされて
いたこと、その揺らぎが抑うつや不安の強さと関連していたことが分かりました
● 感染拡大を食い止めるための対策を講じる中で、人の心理に生じる変化を置き
去りにしないことが、感染症との戦いにおいて重要であると示唆されます
【概要】
COVID-19の感染拡大は、私たちの日常を一変させました。パンデミックが始まった頃の世界は、いつになれば「普通」の生活に戻れるのか分からず、先行きを予測することも、環境をコントロールすることも難しい状況であったと言えます。
予測や制御の困難な状況では、自分への自信や他者への信頼についての根本的な考え方を意味する「中核的信念」の再構築が必要になると言われています。東北大学加齢医学研究所スマート・エイジング学際重点研究センターの松平泉助教、瀧靖之教授らの研究グループは、2020年7月に1,196名の日本人を対象としたWeb調査を行い、COVID-19の感染拡大が人々の中核的信念の揺らぎを引き起こしたこと、揺らぎが大きいほど抑うつや不安感も大きいことを明らかにしました。また、中核的信念の揺らぎの大きさを、1度目の緊急事態宣言発令中に感染対策に協力できていたと思う程度、感染対策への協力を負担に感じていた程度、感染拡大そのものに感じたストレス、感染拡大に伴う収入の減少で説明できることも明らかとなりました。この結果は、感染症との戦いにおいて、人の心理に生じる変化を考慮することの重要性を示唆していると考えられます。本研究成果は11月23日にHumanities & Social Science Communications誌に掲載されました。

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詳細(プレスリリース本文)
【問い合わせ先】
東北大学加齢医学研究所 スマート・エイジング学際重点研究センター
助教 松平 泉(まつだいら いずみ)
電話:022-717-8824
E-mail:izumi.matsudaira.e4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
教授 瀧 靖之(たき やすゆき)
電話:022-717-8559
E-mail: yasuyuki.taki.c7*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)