福本 学
Manabu FUKUMOTO
 

科学的方法、新規を発見できるか、普遍的か

ユニークだが簡便でわかりやすい方法なくして科学は成り立たない
 


研究者は、自分の知りたいものが標準に比べてどれくらい量的に違っているかを明らかにしたい、今までに知られていないものを発見したいと願っています。「私があると言っているのだからある」は通用しません。誰が見ても量的、質的な比較がキチンとできていなければ、認められません。発見は見つけるだけ、発明は何かを作らなければいけない分、もっと難しいと思われがちです。違います。発見するためには、どう違うかを見極める方法を発明しなければいけません。

全ゲノム塩基配列が解読されたので、今の生物学は生体分子の新たな機能発見が主です。30年前の留学時代、ある特徴を目印にした遺伝子釣りが流行でした。一部の遺伝子は増幅してがん化に関係します。どんな遺伝子でも増幅していれば見つけてクローニングできるin-gel renaturationという方法の改良に取り組みました。なかなかうまく行かなかったのですが、3年かけてモノにしました。「どんな増幅遺伝子でも」は感度が低い、の裏返しでそれを使った新規遺伝子釣りは失敗でした。不滅を誇ったタンパク定量のLowry法は今、使われません。顕微鏡標本のHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色法もいつまで使われるでしょう。

次回は基礎加齢の堀内先生です。

名 前:福本 学(ふくもと まなぶ)

出身地:東京都
趣 味:孫とのダジャレ尻取り合戦
分野名:病態臓器構築研究分野