荒井 啓行
Hiroyuki Arai
 

英文で症例報告を書くことから始めよう

世界に繋がる医学を着実に体験できる
 


私はこれまでに350編を超える英文論文の執筆に係わって来たが、自分は研究者というより臨床家であると考えている。本学医学部を1980年に卒業してから、好んで症例報告を書いてきた。従って、「お気に入りの研究」より「お気に入りの症例」という方が正確かもしれない。右の図は山形県長井市立総合病院での研修1年目に経験したツツガムシ病症例の臨床経過を山形県病医誌に投稿した時のものである。PCなどない時代、タイプライターやレタリング文字を使って必死に作図したものである。

手作り感があってナントも懐かしい。研修医2年目にはエチレングリコールとメタノールの混合中毒で死亡した症例を衛生学教室の池田正之教授(当時)にご指導いただき、Tohoku Journal of Experimental Medicineに投稿し英文論文執筆の充実感を味わった。その後も目の前を通り過ぎる患者を何とか記憶に留めたいと考え、地方都市の総合病院に勤務している時も英文雑誌に短い症例報告をいくつも書いた。症例報告は大きなIFには結びつかないが、世界に繋がる医学を着実に体験でき、大きな研究テーマを見出す基本トレーニングであると今も感じている。

次回は臨床腫瘍学の石岡先生です。

名 前:荒井 啓行(あらい ひろゆき)

出身地:群馬県
趣 味:旧所・史跡を廻りこの国の原風景を探ること
分野名:老年医学分野
クラブ顧問:バドミントン部(2003年~2008年)
星陵アンサンブル(2013年~)