研究を通じて感じる異国文化 

佐藤 恵莉子
神経機能情報研究分野
 

6年ぶりに訪れたシンガポールにて、初めての国際学会。


2014年12月2日から4日までの3日間、MBI-Japan Joint Symposium 2014 on The Mechanobiology of Development and Multicellular Dynamicsという、『機械的な刺激に着目した生命現象の理解』をテーマにしたシンポジウムに参加し、ポスター発表を行いました。

シンガポールは高校二年生の修学旅行で一度訪れていたので懐かしさを感じると共に、当時は無かった大きなホテルや観光施設ができていて時の流れを感じました。地下鉄のドアには注意書きが英語、中国語、マレー語、タミル語の4か国語で書かれており、乗客も肌や髪、目の色が様々でこの国の多国籍・多民族文化を実感しました。

シンポジウムは参加者130人ほどでそれほど大きくはありませんでしたが、トークは1会場のみだったので全ての演者のお話を聴くことができました。中でも印象に残っているのはショウジョウバエ胚において、幼虫の細胞から成虫の細胞へと置き換わる際の細胞動態を力学的に解析した研究報告で、データの豊富さもさることながら、高性能の顕微鏡を用いたライブイメージングによる洗練された動画や、ジョークを交えた聴衆を引き込むプレゼンテーションの巧さに感銘を受けました。その他にもメカノバイオロジーの先駆者とされる先生方のお話を伺うことができ、とても勉強になりました。

ポスター発表は昼食をとりながら行われましたが、誰でも気軽にディスカッションできる雰囲気があり、海外らしさを感じました。自分の英語が上手く伝わらなかったり、ネイティブではない人の癖のある英語が聞き取れなかったりと悔しい思いもしましたが、日本人の先生方からもアドバイスをいただき無事に発表を終えることができました。

期間中にMBIの研究室を見学する機会もあり、顕微鏡や実験装置の数に圧倒されましたが、何よりも15以上の研究チームが3フロア分の研究室を共同で使用していることにとても驚きました。実際、実験機器の予約はかなり競争的だとの話があり、人数が多ければそれだけ問題もあるのではないかと思いましたが、だからこそコミュニケーションをとることがとても重要で、研究室間の交流も活発になっていくのだなと思いました。日本の研究室はどちらかといえば閉鎖的で、研究室間の交流も希薄なことが多いようですが海外のこうした面は見習うべきだと感じました。

今回私にとって初めての国際学会での発表で、課題も多く残りましたが、年齢も国籍も研究テーマも様々な人達と出会い、ディスカッションし互いを理解するという経験は日本の学会に参加するだけでは得られないとても貴重なものであったと思います。このシンポジウムへの参加は平成26年度 加齢医学研究所研究助成により実現しました。このような素晴らしい機会を与えて下さった川島隆太所長、小椋利彦教授に感謝いたします。

画像:シンガポールの代名詞 マーライオン(上)/ ポスター発表の様子(下)

名前:佐藤 恵莉子

所属:神経機能情報研究分野
(生命科学研究科 生命機能科学専攻 修士課程1年)