世界トップリーダーの横で過ごす日 

家村 顕自
分子腫瘍学研究分野(助教)
 

論文でいつも目にしている偉大な研究者をお招きするということは、想像以上の重圧と緊張が伴いましたが、世界水準の研究を知るよい機会となりました。


この度、加齢医学研究所海外研究者招聘プログラムにサポートしていただき、米国Geisel School of Medicine at Dartmouthにて学長を務めておられるDuane A. Compton博士を招聘し、加齢研にてセミナーをしていただきました。
Compton博士はこれまでに、分裂期での染色体分配に関わる数多くの分子基盤を解明され、近年はがんにおける染色体均等分配異常の研究において第一線でご活躍されております。この度、横浜で執り行われました第75回日本癌学会でのご講演のため来日されるとお聞きし、お声掛けしたところ快く承諾していただき、加齢研に招聘するはこびとなりました。

来日されたその日の夜遅くに仙台にきていただき、一泊していただいた後に朝から私を含めた分子腫瘍学研究分野のスタッフ・学生とのディスカッション、昼食後にセミナー、その後直ぐに横浜へと非常に慌ただしいスケジュールとなってしまいましたが、時差があるであろうお身体にもかかわらずCompton博士は気さくに、また決して英語が堪能とはいえない(多分失礼な発言も多々あったと思われる)私に対しても丁寧に応対して下さりました。
いざ招聘するとなると、招聘する先生とのやりとりからはじまり、交通手段や宿泊施設の手配、セミナーまでの待ち時間の応対、セミナーの宣伝(空席だったらどうしようとドキドキでしたが、当日は立ち見の方がいるほどの大盛況でした)、セミナー中の座長、お見送り等々・・・なにより学生時代からCompton博士の論文でこの分野の見識を深めていた私は、Compton博士を前に常に緊張状態でしたが、世界トップリーダーの横で過ごした1.5日は私にとって世界水準の研究情勢を知るよい機会となり、今後の研究活動への励みとなりました。そして、語学力という課題の存在を改めて実感する日となりました。今回のこの経験を糧により一層世界を、トップレベルを見据えた研究ができるよう日々の研究活動に邁進してきたいと思っております。

最後に、川島隆太所長、田中耕三教授、分子腫瘍学研究分野の皆さまをはじめ、ご指導ご協力を賜りました全ての方へこの場をお借りして御礼申し上げます。

画像:盛況に終わったセミナー風景(上)/ 分子腫瘍学研究分野のメンバーとCompton博士(右から5番目)、分裂期において染色体を引っ張る紡錘体と呼ばれる構造を手で表現しました(下)

名前:家村 顕自

所属:分子腫瘍学研究分野
(助教)