ヨーク大学留学体験記 

元木 康介
脳機能開発研究分野
 

イギリス ヨーク大学に留学して学んだこと
-大学、食生活、研究生活について-


私は自然科学系短期共同研究留学生派遣(COLABS)プログラムを利用して、イギリスのヨーク大学に留学していた。ヨーク大学はイギリスの古都であり、ロンドンから電車を乗り継ぎ約2時間のところにある。地理的にはイングランドの北部にあり、スコットランドほどは北には行かない。私は2015年3月から9月までヨークに留学していた。留学時期について話すと、いい時期に来たね、とよく言われた。ヨークでは、夏は涼しく過ごしやすい。一方で、冬は寒いし、日が沈むのは早いと聞いている。

私は非常に良い時期に来た訳である。ヨーク大学は自然と野生動物に溢れた大学である。キャンパス内には多くの鳥がいる。日本でその辺りにいる犬くらいの大きさはある。また、野生のウサギやリスを見かけることも珍しくはない。初めの頃は鳥などの野生動物に遭遇するたびに驚いていたのだが、すぐに慣れた。いちいち気にしては生活にならないくらい多くいるためである。キャンパスの至る所に野生動物がいるというのは、研究生活の癒しになってくれた。

食生活については、留学当初はスーパーで出来合いの食事でなんとか過ごしていた。正直いって、味はお世辞にも美味しいとは言えない(ハンバーガーやフィッシュ&チップスは例外的にそこそこ美味しい)。しかし、円高の影響で出費がかさむことや、自炊の方がそもそも安いし美味しいという同居人や友人達の強い勧めがあり、自炊に移行した。自炊に移行することで、食生活のクオリティオブライフはかなり向上した。

食文化が違っても、なんとか生きられるものである。昼食は自炊できないため、大学内でどうにかしなくてはならない。コストパフォーマンスを考えた時に、図書館内にあるカフェ(COSTA)のピザやサンドウィッチが昼食に最適であるという結論に達した。安くてそこそこ美味しい。ただ、大学内のスーパー(NISA)にあるサンドウィッチは地雷なので注意が必要である。パッケージは美味しそうだが中身は悲惨である。カナダ人やフランス人の友人も、口を揃えて同じことを言っていたので、私の味覚の問題ではないと思う。食事の目利きも、時間が経つにつれて向上し、地雷を踏む確率は減少していった。

私は留学経験がなかったので、英語には非常に苦労とすると予想していた。そして実際に苦労した。実験参加者は皆もちろんネイティブイングリッシュスピーカーであり、説明は英語で行わなければならない。苦労する場面が多かったが、なんとか実験を遂行することができた。結果的に、新しい解析手法を習得し、実験も遂行できて、非常に充実した留学生活であった。留学中に日本に帰りたいと思ったことは一度もなかったので、そのことも充実した留学生活を象徴していると言えるだろう。また、サバイバル能力もついた気がする。指導教員の出馬先生を初めとして、ヨーク大学やニューロイメージングセンターのスタッフ、同居人のOwaisやヨーク大学心理学部博士課程の友人、日本人留学生の方々には大変お世話になった。また、東北大学COLABSプログラム、そして所長裁量費で今回の留学をサポートして頂いた。心より感謝申し上げたい。