はじめての国際学会 

斎藤 健貴
基礎加齢研究分野
 

小さなコミュニケーションの積み重ねから得られた、大きな学び。


6月20~25日にカナダ・トロントで開催されました国際血栓止血学会(ISTH 2015 Congress)に参加してきました。世界中から血栓・止血領域の研究者や臨床家が8000人以上集い、活況を呈していました。

私はポスター発表にて「補助人工心臓に生じた後天性von Willebrand症候群」に関する研究成果を発表してきました。国内でvWFを専門とする研究者は少ないのですが、学会会場には似た領域の研究をしている人が多く、活発に意見交換することが出来ました。仲間が多くいて嬉しいと思った反面、早く結果を出さねばとの焦燥感に似た気持ちも芽生えました。

私自身中学・高校と、自治体の海外交流事業で2度海外に渡航した経験があり、国際交流の重要性や楽しさは当時実感しましたが、大学入学以降諸先生方から幾度となく聞かされる「英語の必要性」「若者よ、海外に出よ!」との言葉の数々に半ば辟易し、内向きな日々を送っていました。しかし参加者同士がスピード感溢れる英語で堂々と話すことによってコミュニケーションや人脈を容易に構築している状況を今回の学会で実際に目の当たりにし、英語のスキルを身に付ける必要性をひしひしと感じました。と同時に先生方がおっしゃっていたことの意味が恥ずかしながらようやくわかりました。また本学会では臨床家が数多く参加していたため、実習でしか臨床に触れていない自分にとっては議論についていけないこともしばしば。英語以前に臨床経験が圧倒的に足りないことにも気付かされました。

さてトロントは移民の多い国際色の豊かな街であり、道行く人の人種も違えば、話す英語のイントネーションも皆違います。当然のことながら日本の英会話クラスや日本人同士でやる英語のカンファレンスとは違い、皆生活するために英語を話しています。1週間程度とはいえ、そのような環境の中で「生きるため」に英語を使ったのは、私の中では大きな経験でした。例えば飛行機が一度欠航した旨を宿の人に説明するときは必死でした。キャンセル料が別途にかかってしまう、もしくは宿泊の予約自体が取り消しになる可能性はありましたが、結果的に斟酌してくれたのでホッとしました。

また自分で調べればわかるようなこと、例えばコインランドリーの使い方や地下鉄の乗り方までも周りの人に聞くようにしました。些細なことではありますが、母国語でない言語で「伝わる」経験を重ねていくと、コミュニケーション自体楽しいものに思うようになり、「もっと話したい!」という欲が芽生えてきました。私自身これには驚きました。今回の経験が研究ならびに勉学に対する大きなモチベーションになったことは間違いありません。

最後になりますが、今回の学会発表は東北大学加齢医学研究所研究助成を受け実現しました。ご支援・ご指導いただいた皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。

画像:トロントアイランドからの風景(上)/ 学会のパーティーの様子(下)

名前:斎藤 健貴

所属:基礎加齢研究分野

(医学科6年)